バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期終了を2014年1月末に控えるなか、後任をめぐる思惑が交錯中です。ワシントン・ポスト(WP)紙がサマーズ元財務長官・前国家経済会議(NSC)委員長が最右翼と伝えれば、フィナンシャル・タイムズ紙のFed担当であるロビン・ハーディング記者は、サマーズ氏が緩和政策を疑問視するスタンスを理由にイエレンFBR副議長の可能性が濃厚と報道。今後の政策を予想する上で最も重要なポストなだけに、FRB議長の後任人事にはポジション・トークの色さえにじんできました。おかげで足元は米債利回りが上昇すると同時に株価も下落して寄りついたり、落ち着きません。
実際のところ、ウォールストリートはどのようにみているのでしょう。
CNBCが26日に市場関係者を対象に調査したFedサーベイ・速報版で明らかにしたところ、イエレン副議長が指名されるとの予想が70%と圧倒的多数でした。サマーズ元財務長官官への回答は、わずか25%に過ぎません。
どちらを望むかとの質問では、ハッキリと明暗が分かれました。イエレン副議長に軍配が上がりトップの50%と半分に達しているんですね。サマーズ元財務長官は大きく水を開けられ、たったの2.5%でしたよ。理数系の学問で女性は適正を欠くと発言してハーバード大学の学長を追われたほか、メキシコ危機当時でも米議会からその不遜な態度が大いに反感を買っていましたが、市場関係者からも好感を得ていないことが分かります。
ここまで格差が大きいとは、さまぁ~ず氏も「もやっと」するどころか切りきり舞いしているでしょう。
2位はというと現職のバーナンキ議長その人で、ブッシュ政権下で財務次官だったジョン・テイラー元財務次官と並び12.5%でした。その間にブッシュ政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め2003年のブッシュ減税を推進したグレン・ハバード氏が7.5%、グリーンスパン前議長の片腕だったロジャー・ファーガソン元FRB副議長が5.0%と続きます。サマーズ氏の評価がいかにズタズタかが、想像できるというものです。
サマーズ氏が嫌われる理由は、なんといっても「量的緩和(QE)は多くの人々が予想するほど実体経済に効果はない」と発言ですね。ドイツ証券のジョセフ・ラボローニャ主席エコノミストもツィッターで「最近の言動をみると、サマーズFRB議長誕生は債券市場に弱気で、利回りは一段と上振れするだろう」と予想しております。
イエレン副議長のゆるぎない評価と信頼感を確認した世論調査結果を汲み取り、オバマ米大統領が同氏を指名するのか……期待は高まる一方です!イエレン副議長はホワイトハウスとの関係が希薄とされますが、労働市場を重視した政策を継続させる安心感もあり政権にとっても不足はない候補といえそうですしね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年7月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。