一般社団法人海外資産運用教育協会の1期生の講座を週末に開催しています。20名の仲間と海外資産運用の知識をシェアする授業です。
昨日の講義の中で、一番反応があったのが、海外で口座開設する米ドル建ての6%の定期預金でした。ちなみに、調べてみると日本国内の米ドル外貨預金はネット銀行でも0.17%といった水準です。
6%の金利には理由があります。
米ドルの外貨預金ですが、カンボジアの銀行が提示している預金レートなのです。例えば、SBIホールディングスも40%出資しているプノンペンコマーシャルバンクの1年物米ドル外貨預金の金利は、現状年6.1%です。
果たして、リスクリターンから見て、妥当な水準なのでしょうか? それとも、マーケットが歪んでいるのでしょうか?
6%の金利差は、市場の信用リスクの評価が反映されたものです。カンボジアの格付は、投資適格に遠く及ばない、B(シングルB)レベルで、機関投資家は投資できないレベルです。
カンボジアという国に対するリスク、その中の銀行に対するリスクの対価として、これだけの高い金利が付与されているということです。恐らく、外貨預金には外国人の預金に対する預金保険のようなセーフティネットも無いと思われます。自己責任で投資判断できる人だけしか手を出してはいけない商品です。
しかし、カンボジアの面白いところは、国内で流通している通貨も現地通貨ではなく、米ドルだということです。タクシーに乗ったり、レストランで食事しても米ドルで支払い、1米ドル未満のお釣りは現地通貨で戻ってくるそうです。さらに不動産投資のお金も米ドルです。
彼らにとっては、米ドルは外貨預金ではなく、日々使っている通貨なのです。
先進国の機関投資家からは、投資対象エリアと見なされておらず、海外からの投資資金は、自己責任でリスクを取れる資金が細々と入ってきているだけ。つまり、マーケットが分断されている状態です。
これを世界から隔離された歪んだマーケットと見るのか、マーケットメカニズムに基づく信用リスクの反映とみるのかによって、投資行動は変わってきます。
再来週からカンボジアに出かけますので、米ドル外貨預金についても情報収集して、歪みと判断すれば、自己責任でアクションを起こしてみようと思っています。
カンボジアに限らす、世界には投資のチャンスとリスクが溢れています。実際に投資をする個人投資家の立場から、海外投資をロジカルに勉強する講座。1期生の授業は本日も7時間開催予定です。
第1期に続き、第2期の20名の受講生も9月開催に向けて募集を開始しています。日本人の資産運用を変えていくという協会の設立趣旨に賛同いただけれる方の参加をお待ちしています。
※本コラムはカンボジアの外貨預金を推奨するものではありません。リスクの極めて高い投資対象になりますから、自己責任で判断をお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年8月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。