多様性と「共感」が人類進化を決めた

アゴラ編集部

人間は「利己的な行動」をしたほうが得か、それとも「利他的な行動」をしたほうが得か、よく議論になります。「情けは人のためならず」という言葉がある。英語だと「One good turn deserves another.」ですか。ようするに、他人に情けをかければ巡り巡ってそれが自分に返ってくる、という意味です。利他的な行動のほうがいいのにもかかわらず、残念なことに世の中には「フリーライダー」と呼ばれる人たちがいます。会社や行政組織のフリーライダーやタックスイーター、「粘土層」とか言われてる管理職の老害、男女問わず腰掛け社員やお局系もこれに入る。組織の風通しや効率、モチベーションを極端に悪くしてますな。しかし、世の中はそれほど単純ではない。利己的な人がときに利他的に振る舞うこともあります。


表題の記事では、利己的な人を罰するように人類は進化してきたことがゲーム理論からわかった、と書いています。短期的には利己的な戦術が成功をおさめるかもしれないが、長期的にはその戦術は持続できない、というわけ。ゲーム理論は話を単純にすることが多く、攻撃的なタカ派と平和を愛するハト派という2種類しか出てこなかったりまします。しかし、カラス同士は仲良くやり、ほかの鳥は攻撃するという「カラス的行動」や群を作って助け合う「ムクドリ的行動」のタイプなどが出てくれば、それぞれの関係はさらに複雑になる。

有名な囚人のジレンマでも、価値観や個性の多様な人が加われば、利他的な行動が引き起こされるという研究もありますし、共生のネットワークこそが競争を抑制し、多様性を高めていくという意見もあります。現実の人間社会は問題を解決するためのさまざまなシステムが混在しています。助けたり裏切ったりという従来のシンプルな要素に、休息したり食欲を満たしたりセックスしたり誰かにケンカをふっかけるというような多様な項目を加え、より現実の世界に近い複雑で駆け引きのあるモデルを使ってシミュレーションすれば、ずっと多様な結果になりそうです。

人間が持っているほかの動物にない能力は、他人の気持ちや体験を理解できる想像力です。それが赤の他人でも、喜びや悲しみ、気持ちよさや苦しみをあたかも自分のことのように共有できる。これは「共感の遺伝子」とも言えるものですが、こうした能力を育てるのは、家庭環境や社会、教育でしょう。利己的行動と利他的行動に加え、共感行動を持っているのが人間の素晴らしいところでもあります。

POPSCI
Evolution Punishes Selfish People, Game Theory Study Says


過誤記憶の形成過程を初発見 理研センター長らが 冤罪防止などに期待
官庁通信 「今日の話題」
「記憶」には短期記憶と長期記憶があり、短期記憶の積み重ねが長期記憶になります。短期記憶は、覚えられる数は大体五つから九つ、7プラスマイナス2くらいと言われています。数秒とか数十秒で忘れちゃう。一方、長期記憶は、かなりの数を覚えられ、長いものは一生残っている。短期記憶が最初の材料になり、それをもとにして記憶が貯蔵され、長期記憶になる。こうして脳に記憶が貯蔵されることを「記憶の固定化」と言います。複数の短期記憶が絡み合って長期記憶になることもあるようです。この過程で間違った記憶になることもある。この記事では「理化学研究所の利根川進センター長らのチームが、マウスの脳に光を当て「誤った記憶」を形成させることを実証した、と書いています。こうした研究が、目撃証言などによる「冤罪」の防止に役立つのでは、というわけです。

デロンギのミニコンベクションオーブンで作るヘルシーメンチカツ♪
Sallyの家電研究室
オッサン世代に揚げ物好きは多いです。でも、暑い時期は食欲も減退ですね。揚げ物は油の処理とかも面倒。しかし便利な世の中になったもんで、あっさりした揚げ物を油を使わずに作ることができるらしい。このブログで紹介されてるイタリア製のオーブンは優れもののようです。熱風循環で揚げない「焼きメンチカツ」。やはりキャベツがキモですな。

「書く」ことで体の傷も治る!?
クーリエ・ジャポンの現場から
米国『TIME』の「How Writing Heals Wounds — Of Both the Mind and Body」という記事を紹介しているブログです。ブロガーなどの活動の衝動は、ひょっとするとこんなところからきているのかもしれません。

飲む前に知っておきたかった! ビールの太らない飲み方4つのコツ
Kotaku JAPAN
いやあ美味いですね、ビール。しかし、ビールは高カロリー、高プリン体の糖度の高いアルコールです。美味いんだが飲み過ぎたらダメです。この記事では、ビールをより健康的に飲むための方法を紹介。しかし、同量の水を飲んだらビールが不味くなるじゃないか、食べて飲んだらもっと太るんじゃないか、と思う。つまり、ほどほどに飲んどけ、ということらしい。


アゴラ編集部:石田 雅彦