キラキラネームは「非常識」が「常識化」する表象か

アゴラ編集部

いわゆる「キラキラネーム」が話題です。他人の名前なんてどうでもいいと思うんだが、そもそも安倍総理が講演で「光る宇宙の『宙』で『光宙(ぴかちゅう)』と読ませる名前をつけた親がいる。キラキラネームの子どもの多くはいじめられている。子どもはペットじゃないんだから」と苦言を呈したことから、ちょっとした騒動が始まります。静岡県の緊急救命医がTwitterで「名前を取り違えて重大な医療事故に繋がる危険性がある」といった内容の危惧を発信。これがネット上で取り沙汰され、それをきっかけにマスメディアが取り上げた結果、「真理唯(まりい)」、「苺輪舞(まろん)」、果ては「月花美人(キューティーハニー)」から「凸(てとりす)」といった名前の子どもが存在することが明らかになりました。それまで「どうでもいい」といった態度だった傍観者がネット上で「すわ、キラキラネーム狩りか」などと意見を出し始めた、というわけです。


表題ブログが紹介している調査では、「真九州(まっくす)」、「愛音羽(あねは)」、「明日(トモロー)」、「美凪子(ビーナス)」、「音(りずむ)」といったものがあったそうです。しかし「愛音羽(あねは)」ってのはいったいナニを意味してるんでしょうか。同じ読みの「姉歯」から構造計算書偽造事件を連想するしかないと思うんだが。他人の親の考えることは、いつの時代も意味不明です。

日本の戸籍法では、人名につけることができる漢字の範囲が定められているんだが、読み方について特に制限はありません。そのため、こうした難読や当て字を通り越してクイズモドキの名前をつける親が出始めている。しかし、どうやら日本以外でもキラキラネームが増えているようです。「Peachy」の記事によれば、米国のテネシー州で「メシア」と名付けられた男の赤ちゃんに対し、同州の司法が名前の変更を命じたそうです。「Messiah(メシア)」はヘブライ語で、キリスト教においては世界を破滅から救う予言者のこと。この記事では、中国や韓国でもキラキラネームが増えていて、中には「@」やオングストロームなどの記号を名前に使う親まで出る始末。

しかし、どうしてこんな名前をあえてつけるんでしょうか。こうしたキラキラネームは、貧困に関係があり犯罪につながりかねない、といった意見もあるらしい。また、変わった名前はいろんな意味で不利、という調査結果もあるようです。ひょっとすると、世界的に「常識」というものがどこかで「断絶」し、ネット以前以後で新たな「常識」が広まりつつあるのかもしれません。

名前には「ブーム」があり、キラキラネームもその一種なんだが、昔も難読の名前はよくあった。「月花美人(キューティーハニー)」や「凸(てとりす)」は極端だとしても、多少のキラキラネームは許容範囲だと思います。しかし、それが昨今のネット上に現れている「非常識」と同じ位相にあるとしたら、ちょっと座視できない現象かもしれません。

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アゴラ編集部:石田 雅彦