「集団自殺」からクジラ類を考える

アゴラ編集部

イルカなどのクジラ類が、ときに陸へ乗り上げたりして大量に「自殺」する、ということはよく知られています。しかし、この原因はずっとわからなかった。地磁気の変調によるものとか、天敵のシャチに追われたからとか、寄生虫が脳を冒したから、とかいろいろ言われています。その中には、爆雷や魚雷、ソナーなど、スクリュー音を含めた海軍の武器使用や演習が影響しているのでは、という疑いもあった。


表題ブログのもとになっている「PHYS.ORG」の「Navy training, testing may kill whales, dolphins」という記事によると、米国海軍が行った演習により、クジラ類の方向感覚が狂い、陸へ衝突したり乗り上げたりする可能性について認めたそうです。ただ、こうしたクジラ類の「座礁自殺」は、米国沿岸に限らず、世界中で起きている。強力なソナーを発信する潜水艦が世界中の海中に潜んでいる、と考えない限り、ちょっと因果関係を証明するのは難しそうです。

クジラ類の保護や漁獲量については、海のない国まで参加している国際捕鯨委員会で決まります。クジラ類の個体数は増えている、という報告もあるんだが、一時期、セミクジラやシロナガスクジラなどの大型のクジラ類はかなり減った。減った主な原因は、19世紀の欧米や日本による乱獲です。ハワイのマウイ島にあるホエール・ミュージアムでは、ラハイナの沖合海底にはザトウクジラの「墓場」がある、と紹介されている。目的は鯨油を取ることで、肉や骨は利用されることなく捨てられていたわけです。

一方、英国の研究によれば、イルカは頭も性格も悪く凶暴、ということがわかってきたらしい。コモンドルフィンと呼ばれるバンドウイルカには、沿岸に定着する集団と遠洋を周回する集団がいます。定着イルカは穏やかで、遠征イルカは野性的らしい。水族館のイルカが「意地悪」というのは有名な話です。鴨川シーワールドのシロイルカは、ペニスを出して観客をからかったりする。ちなみに、イルカ類という生物はいません。小型のクジラをイルカと呼んでいます。

ところで、チンパンジーは「チンパンジン」などと世迷い言を唱える研究者もいるんだが、イルカもチンパンジーも人間とは違いますね。野生動物に人間が自己投影をすると、ろくなことはありません。

カラパイア
イルカやクジラの大量座礁や大量死。米海軍がその関与を認める。訓練や実験による海中の爆音によるもの。


サグラダファミリアが「完成した2026年の姿」を一足先に体験できる映像を公式アカウントが公開
DDN JAPAN
スペインのバルセロナにあるアントニオ・ガウディが1882年に建築を引き継いだ「サグラダ・ファミリア」は、以前は構想通りの完成には300年はかかる、と言われていました。しかし、世界的な知名度が上がって建築費の心配がいらなくなり、優秀な人材の参加や技術の進歩などにより、2026年に完成するまでになっている。ずっと放っておかれた建築許可も無事に下り、ガウディの没後100年を迎えることができそうです。

「BRUTUS」が仕掛ける“雑誌×ウェブ”の新手法–西田編集長に聞く
CNET Japan
かつては一世を風靡したのに、最近どうもパッとしないマガジンハウスの雑誌群なんだが、まだ『BRUTUS』なんてあったんですね。広告出稿が減って、どの出版社も大変です。あんなにたくさん女性誌が必要なのか疑問な上、広告量はすべての雑誌をまんべんなくカバーできるほどとも思えない。雑誌単体の売上げだけで、あのバカ高い制作費を出せるはずもないわけです。バブル前後のころなら、出張旅費なんか使い放題だったマガジンハウスの編集者も先輩から昔話を聞かされているんでしょうか。そういえば、莫大な出張精算を放り出して会社を辞め、自分で媒体を立ち上げた「名物編集長」もいたっけ。このインタビューでは、リアルとヴァーチャルを雑誌というメディアを使ってどう橋渡ししていくのか、語っています。なかなか興味深いんだが、やはり今の時代の出版社はどこも大変そうです。

日本心理学会で個人的に興味を引いた研究発表10
コリログ
いわゆる「心理学」というのは、まだ学問として完全に体系化されているとは言いがたい領域です。人間の心理、というのは、かなり不可解な謎に満ちている。だからこそオモシロいんだが、手相占いや血液型性格分析みたいに類型化することが難しいんでしょう。人間が何パターン化に分けられたら世話はない。ここで紹介されている研究には、民族や国家の違いによるものが多い。日本が今、置かれている環境や状況を反映しているような気がします。そのときどきの人間心理は、地政学によってかなり影響されるんでしょう。そのへんの類型化くらいはできそうです。

日本の米は高いか
メカAG
TPP交渉が少しずつ進捗しているようです。農協系の団体が大規模な反対集会を開いたり、具体的な内容が明らかになるにつれ、あちこちで不安や不満が出てくるんでしょう。ウナギやマグロと同じように、日本を含めた世界的なニーズが高まれば、それまで低価格だったものの値段が上がります。このブログでは、安い外来米を輸入しても、いずれは需給関係で価格は変わっていくのでは、と首を傾げています。大店法で大型店が進出し、低価格で周辺の小売店を粉砕し、競合がいなくなってから値段を上げる、というようなことが起きるのかもしれません。


アゴラ編集部:石田 雅彦