グリーが200人の希望退職者募集を行うそうです。
グリーと言えば、DeNAと並ぶ「新興企業の雄」的存在で、リーマンショック後は採用数の減った外銀にかわる新たな高学歴理系修士の受け皿になっていた面もありました。一昨年くらいにDeNAが新人に年俸一千万円出すという話が話題となると、すかさず「うちは13年度入社者から、最大1500万円支払います」とカウンターを返したことでも話題となりました。
そんなイケイケの会社が200人、実に単体従業員の11%に上る早期退職募集です。成長も撤退も従来のモノづくりメーカーとは比較にならないほどスピーディーな業界なのでしょう。
とはいえ、同社も日本の法律を適用される日本企業であることに変わりありません。同社のリストラ計画からは、日本企業の抱える色々なジレンマがにじみ出ていて興味深いので、簡単にまとめつつ、どういう人材が会社から必要とされるかについて考察してみましょう。
賃下げ→自発的離職では間に合わないほどの見通しの悪化
ちょっと前に同社は査定下位の社員に対して8%賃下げを行う人事制度改革を行っています。これは下位成績の人間に自発的に離職を促すことで、めんどくさいリストラを回避しようという意図があると見て間違いないでしょう。
外資でもいきなり解雇にするのは金融やコンサル等一部の業種で、大半は査定成績を低くして給与カット→自発的に離職というパターンです。「うちとしては君は全然評価してないから」と言われたら、プライドのある人材ならたいてい辞めるもんですね。
実際、携帯ゲーム業界は中途採用の方が新卒採用より一般的と言われるほど人材流動化が進んでいるので、一定の効果はあったと思われます。
にもかかわらず、今回「早期退職募集」という負のアドバルーンを上げざるを得なかったことは、当初の予想以上に同社の先行きが不透明になったということでしょう。ちなみに、先日行われた株主総会でも今期の業績予想を出さなかったので、不透明どころか五里霧中というべき状況なのかもしれません。
普通のリストラというのは「今後の経営戦略から〇〇事業に〇〇人必要で、でもとりあえず固定費を〇〇円カットせにゃならんから〇〇円上積みで〇〇人ほど、いらない事業部門からリストラしよう」という明確な計画に基づいて行われるもので、当然、今後の事業展開やら業績予想やらは出揃っていないとおかしいわけです。
それが出てこないということは、そういう数字無しに自転車操業的にリストラしているか、人前に出せないほどよろしくない数字だということで、どちらにせよ結論としては、まだ同社のリストラは底打ちしたとは言い難い状況ではないかというのが筆者の意見です。
※今週のメルマガの前半部の紹介です。
編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2013年10月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。