未来志向の日韓関係

生島 勘富

松本氏と日韓関係についてTwitterでやりとりさせていただきました。日韓の歴史について分析が特に違う分けではないと思うのですが、残念ながら結論が違います。

同意が得られたのはこれだけでした。

そこから、「未来志向の日韓関係」について考えてみたい。


朝鮮は歴史的に中国(中華)の属国であり続け、華夷秩序を守ってきました。
儒教的思想が非常に強く、「中国(中華)一番、朝鮮二番、日本(その他)は三番目」という序列感を強く持っています。

そのため、朝鮮は中国(中華)の属国として朝貢外交を続け、ときには強大な武力侵攻を受けきましたが、中国に対して日本に対するような嫌悪感を持つことはありません。また、序列として下に見ているベトナムに非道いことを行いましたが、悪いことをしたという感覚もないようです。

しかし、日本は違います。統一国家としての体を成し始め、聖徳太子が当時の隋の皇帝に「日出ずる処の天子が 書を日没する処の天子に致す 恙なきや」と送った(対等であると宣言した)頃より、中国に対しても対等である(ありたい)と考えて、その通りに独自路線を歩んできました。

    もちろん「没する処」に煬帝が激怒したのではなく
    日本の天皇が、地上に一人しかいないはずの「天子」
    を名乗ったからです。

少なくとも日本人の感覚として、中国(中華)一番、朝鮮二番、日本三番という序列を持っている人は少ないでしょう。まして、「その序列を守らないと行けない」と考えている人は希だと思います。最初から序列の感覚を持っていないから、「未来志向の日韓関係」と言ったときに、日本人は、「対等に仲良くしましょう」という感覚でいるはずです。

しかし、韓国の方々が考える「未来志向の日韓関係」とは、「崩れた序列を正しましょう」なのです。

韓国の方々が仰る「心からの謝罪」というのは、日本人が朝鮮半島(韓国)の価値感の通りに行動すること。つまり、日本はあくまでも韓国より序列の下であり、序列を意識して出過ぎた真似をしない。ということです。

心からの謝罪を求められている明治維新以降の出来事を簡単にまとめれば、「目上の人の前に立っては行けない」儒教の中で、目上の人を殴り倒した。「ゴメンなさい」とは言ってるけれど、不遜にも、まだ前に立っている。
本当に悪いと思っているなら一歩下がるはずだが、下がらないのは心から謝罪してない証拠」という訳です。

韓国の価値感では、「序列を崩すこと」が最も大きな矛盾で、それを正すために小さな矛盾があったとしても些事と言えるのでしょう。
しかし、日本の価値感では、そもそも大きな矛盾は存在しないので、韓国の方々が言ってくる要求のほとんどは「矛盾だらけ」に感じてしまう。という話です。

日本にも僅かに儒教的な考えが残っているので、何となく分かるのではないでしょうか?韓国との問題のほとんどが、これで説明が付くと思いませんか?

松本氏の仰るように日韓併合は、朝鮮半島(韓国)の価値感で考えれば「序列を崩した最も許しがたいこと」になり、合法的かどうかは些事です。しかし、日本の価値感で考えれば「合法的に平和裏に行われた」となるわけです。

これらの問題は、同じ事実を違う価値観で見ればそうなるだけのことで、正しいか、正しくないかを議論しても意味がないと私は考えます。

日本としては聖徳太子以来の価値感を変えることはできないし、する必要もないでしょう。韓国も根本的な価値感が変わることはないはずです。個人間でも価値感の違いが埋まらず、しばしば問題が起きるのに、国家間で根本的な価値感を合わせることなどできるはずがない。

問題は、価値感の違いをお互いが認識してないことでしょう。
つまり、全く違う目標を「未来志向の日韓関係」などと、同じ言葉で表現してしまうことです。
巧く行くはずがありません。

繰り返しますが、韓国の方々は日本に対して「対等である」とは決して思っていません。儒教国家である韓国のメンタリティーでは、最初から日本を一段下に見ていますから、日本人が何となく考える「対等に仲良くする」は実現することはあり得ないのです。
(個々人は対等に仲良くできても、国家間ではあり得ません)

この問題の簡単な解決は、日本が「一歩下がる」ことです。

「一歩下がる」はこのまま日本がじり貧になり、韓国が飛躍すれば実現しますが、自ら下がる必要があろうはずもないし、できません。であるなら、「一歩下がる」気がないのに、どんなに謝罪しても意味などないのです。

結論的には、「自分は変えられるけれど相手は変えられない」のですから、巧く行くはずのない目標を捨てれば良い。

つまり、日本は「対等に仲良く」はできないけれど、それなりの付き合いを考える。

韓国は、「日本に必ず勝つ!」という意識を持って、日本より一歩前に出るように頑張る。国力がつき、韓国国民全員が「日本を追い越した!」と感じられるようになれば、自然と解決するでしょう。
(北朝鮮の問題は残りますが……)

「国境を接する隣国と仲が良い」なんてことは、現実にはほとんどありません。
仲が悪くて当たり前なのです。
「仲良くする」も「仲良くしなくてはいけない」も日本人特有の甘い幻想でしょう。
最悪、戦争にならなければ良い。
ぐらいの感覚で、付き合い方を考え直すべきではないでしょうか。

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生島 勘富
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