政府機関の閉鎖を経て、ようやく発表されました米9月雇用統計。おかげ様で、米株高・米債高・ドル安の展開でニューヨーク市場は取引を終えています。気になる内容はといいますと……。
米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比14.8
NFPの内訳をみると、民間就労者数が12.6万人増となり市場
時間当たり平均の労働賃金は、市場予想の0.2%より弱い前月比
→政府機関の閉鎖以前で1)雇用の伸び鈍化、2)賃金の伸びは小幅、3)労働時間は変わらず──という結果に終わっています。いかにも生ぬる~い回復の途上にあることを確認しただけですね。
失業率は、市場予想および前月の7.3%より強い7.2%。20
→労働参加率が下げ止まり失業者が減って雇用者が増えるという好循環を示しました。平均失業期間や経済的要因でパートタイムを余儀なく割れている失業率も、小幅改善。ただし10月16日まで続いた政府機関の閉鎖などで、10月以降の家計調査が順調な回復を維持するかは不透明です。
回復ペース、10月には足踏み状態に陥ったりして。
エコノミストの見方はといいますと。
バークレイズのマイケル・ギャピン米エコノミスト
今回の結果を受け、量的緩和(QE)の縮小予想を従来の12月
BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミスト
3ヵ月平均のNFPは14.3万人増と、足元の
→バークレイズは、年内QE縮小ナシと見通しを変更してきました。9月QE縮小見送りをズバリ当てたBNPパリバは、予想を変えておりません。
雇用統計後、市場関係者の気持ちを言い表すならこれがピッタリではないかと。
米雇用統計をはじめ米経済指標が政府機関の閉鎖の雑音を反映してしまう事情も、考慮しなければいけません。ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、CNBCで「NFPは10月に10万人増といった弱い数字が出たと思ったら、11月は逆に20万人増へ強含むなど変動が激しくなるだろう」と予想。はたして12月はというと、「あらためて予算協議の行き詰まりに直面する公算が大きい」というわけで、労働市場が改善する期待値は低いんです。
こうなると、2014年3月までQE縮小はお預けと予想される方が増えてもいたし方ございませんね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年10月23日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。