「理念共有」と「レベニューシェア」で「ベクトル合わせ」を実現する --- 内藤 忍

アゴラ

仕事がうまくいくために大切なことは、「ベクトル合わせ」だといつも思います。チームメンバーで1つのプロジェクトを進める場合では、メンバー全員の目指す方向が同じにならないと最高のパフォーマンスは実現できません。

社外のビジネスパートナーと仕事をする場合でも同じです。理念や考え方をシェアすること。そしてそれだけではなく、利害関係を一致させることが、長期的な成功を導くと思います。


例えば、1人だけにメリットがあるやり方や、成功した時のリターンの配分が投入した努力やコミットメントに対して不公平だったりすると、当事者のモチベーションが下がり、ベクトルも合わなくなって、全体の成果も想定以下になってしまうのです。

それぞれの貢献度に応じて、相応のリターンが配分されなければ、全員が気持ち良く仕事をすることができません。

外部のビジネスパートナーと仕事をする時に、フィーを支払って始めるとその時点で利害の対立が発生します。支払う側は出来るだけ少なく、受け取る側は少しでも多くと思ってしまうからです。双方が納得できる水準を調整している中で、ベクトルがずれていってしまう。良くあるパターンと言えます。

それを解決する方法が「レベニューシェア」という仕組みです。これは初期費用をゼロにして支払、受取関係を無くし、将来入ってくる収益の中から、貢献度に応じて配分をしていくという方法です。

例えば新しいシステムを導入する場合、通常はシステム使用料や初期費用を支払うことになりますが、それを敢えてゼロ円にする。そしてシステム導入後の収益に対して、一定の比率を決めて、システム提供会社と導入会社で収入を配分していくのです。

このやり方の良いところは、導入側から見ると、初期費用がかからないので、始めやすいのが利点ですが、最大のメリットは「ベクトル合わせ」にあります。

収益を増やしていこうという、インセンティブの同期化が可能になるのです。自分の収入を増やそうとすることが相手の収入にもつながる。費用の支払いをする関係から、収益を配分する関係になることによって、自動的にベクトル合わせが行われるようになるのです。

しかも、サービスを提供する側からすれば、固定の費用を受け取るのとは異なり、収益配分は青天井です。収益が爆発的に上昇すれば、手数料とは比較にならないアップサイドが見込めるのです。

資産デザイン研究所では、外部のパートナー企業様とビジネスを薦めていますが、基本はレベニューシェアでお願いしています。既に、予想を上回る成果が出ているケースもあります。

しかし、レベニューシェアの根本は収益ではなく、理念です。考えていること、理想としていること、そういったビジョンやミッションが共有化できた上で、この方法を使わないと長期的には続けられません。そのためには、「なぜ、その仕事をするのか」「その仕事は世の中を良い方向に変えるのか」「その仕事で喜んでもらえる人は誰か」……そんな問いかけを常に続けることです。

ビジネスには利益も重要ですが、その前に理念が無ければ、「仏作って魂入れず」になってしまうのです。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。