MIT卒業式スピーチが教えてくれた人生をエキサイティングにする方法 --- 内藤 忍

アゴラ

2013年の6月7日にMIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業式でドロップボックス社CEOのドリュー・ヒューストン(Drew Houston)が行ったスピーチの内容がネット上で話題になっています。英語の全文がこちらに掲載されていますが、特に後半部分は心に刺さるものがありました。


それは、「人生は30000日しかない」ということです。いや、既に過ぎてしまった時間を計算すれば、自分に残された時間は30000日どころか、10000日くらいかもしれません。

自分が何歳まで生きるかはわかりませんが、それまでの年数に365を掛けてみてください。自分の残された時間がいかに少ないかに驚くことでしょう。

そう考えると、人生にはウォームアップなんてない、練習試合なんてない、そしてリセットボタンだって無いということに気が付きます。毎日が真剣勝負で、それは自分の人生という物語に少しずつ新しいことを書き加えているようなものなのです。そして、自分の人生は自分のものであって、学校の成績表のように、他人と比較して順番を決めるものでもありません。

とすれば、今自分がやるべきことはシンプルです。学校のように間違えを恐れ、完璧主義で生きることではなく、どうやったら自分の人生を面白くできるかに集中すべきということです。

そんな生き方をするためにまず必要なのは、比較するのをやめることです。比較というのは、他人や過去の自分との比較です。

人と比べて自分はどうかという相対的な価値を考えても人生はエキサイティングになりません。自分が何をしたいのかが明確になってそれに熱中している時の方が、ずっと興奮でき幸せな気持ちになれるのです。

特に日本人は人からどう見られるか、人と比較して自分はどうなのかを気にしすぎる傾向があります。そして、「こうあるべき」といった価値観に縛られてしまい、自由な行動を自ら妨げてしまうのです。

例えば、シニアの女性が真っ赤な洋服を着ると「年甲斐もなく・・・」と陰口を叩かれ、初老の男性が若い女性と交際すると「エロ親父」と後ろ指を指される。日本では、シニアの人はゲートボールを楽しみ、蕎麦打ち教室に通い、夫婦で豪華客船クルーズに出かけるものと決めつけられてしまっているのです。しかし、社会に迷惑をかけなければ、自分が何をするかは自由なはずです。自分らしく生きていれば、他人と比較して優越感に浸ったり、卑下したりする必要はありません。ナンバーワンではなく、オンリーワンのライフスタイルです。

また、過去の自分と比較する必要もありません。比較したところで現在が良くなる訳ではないからです。過去との比較で相対的な幸せを確認しても、それには何の価値も無いのです。そんな時間があるなら現在をどうしたらもっと楽しくエキサイティングにできるかを考えることに時間が割くべきではないでしょうか。

毎朝起きたら、自分自身に問いかけてみましょう。

「今日一日これから起こることに自分はワクワクしているだろうか?」と。

ワクワクしないからといってあきらめる必要はありません。そうなるように自分を変えていけば良いのです。それには、ちょっとした勇気を持って、一歩を踏み出すこと。誰でもいつでもできることだと思います。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。