韓国はなぜ「愚かな国」になったのか

池田 信夫

安倍首相が「中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただの愚かな国だ」と言ったという話が週刊誌に出て、朝日新聞が騒ぎにしようとしている。伝聞の伝聞なので真偽のほどは定かではないが、韓国が愚かなことは事実である。OECD諸国で、こんな嘘だらけの歴史を自国民に教えている国はない。


日韓関係は昔から悪かったわけではない。1965年の日韓条約の後は日本が多額の経済援助をして韓国は潤い、日韓関係は親密だった。しかし70年代後半に軍事政権が行き詰まり、朴正煕は戒厳令を出して独裁色を強めた。私は学生のころ韓国の民主化運動を支援したことがあるが、われわれの送った資金を向こうの団体が返金してきた。朴政権が「民主化運動は日本の謀略だ」と宣伝し始めたため、日本の援助は受けたくないというのだ。

朴自身は陸軍士官学校を出た親日派で、日本語もペラペラだった。彼は「貧しい農村の子供で学校にも行けなかったが、日本が義務教育を受けさせてくれたので士官学校まで出ることができた」と日本に感謝していたというが、政権の延命のために日本を仮想敵にしてナショナリズムをかき立てたのだ。

その後の全斗煥も盧泰愚も陸軍士官学校の出身だから実態は知っていたはずだが、軍事政権が不安定になると必ず反日キャンペーンが始まった。独立記念館などで大々的に反日宣伝をやり始めたのも、光州事件などで全斗煥が窮地に陥った80年代後半だ。これに朝日新聞が「従軍慰安婦」というデマを提供したので盛り上がった。その後の盧武鉉や李明博なども、政権末期になると反日キャンペーンをやり始めた。

このように韓国の反日感情は軍事政権が政治的に作り出したもので、歴史は浅い。同じく日本の領土だった台湾にはまったく反日感情がないことから考えても、これは韓国の特殊な病気だ。最近、朴槿恵大統領が共同で歴史教科書をつくろうとか「未来志向」でやろうとか言い出したのは、韓国経済が行き詰まってきたからだろうが、こんな精神的途上国が日本と共同で教科書なんて笑止千万である。

経済的には、日韓貿易は日本のGDPの1.8%だが、韓国のGDPの9.6%だ。日韓関係が悪化すると困るのは、韓国であって日本ではない。朴大統領は朴正煕の娘なので、日本統治時代の実態は知っているだろう。韓国が精神的にも先進国になるためには、彼らが自分の嘘を乗り越えるしかない。その挑発に乗って「在日特権」がどうとかデマを流すのは、彼らと同じレベルに落ちるだけだ。