「トヨタ村」にみる世界戦略 ~ 東京モーターショー見聞録

アゴラ編集部

自動車工業、というのは、単に車体やエンジンなどが作れれば、それで成立するものではありません。ウインドウやタイヤ、シート、IT電装系、油圧系、といった、その国の「総合技術力」が試される業態です。だから世界でも完全自国生産で自動車を作ることのできる国は限られる。これはおそらくEV時代になっても変わりないでしょう。むしろ、これら既存技術に加え、人工知能技術などのIT系基礎研究がなければ、まったく太刀打ちできなくなる可能性が高い。

11月23日から東京・お台場のビッグサイトで一般公開される「東京モーターショー2013」で、ひときわ目立つのがトヨタ系の諸企業の展示ブースです。トヨタ自動車本体の周辺に一種の「トヨタ村」のようなエリアを形成。このあたりをめぐるだけでも小一時間ほどもかかります。自動車生産の「総合力」の見本のような展示がここにある。グループ企業がそれぞれ特色を活かし、世界戦略を構築している、というわけです。

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※豊田章男社長の小さいころの夢は「タクシーの運転手」なることだった、と言う。


もちろん、トヨタ自動車はトヨタグループの中核企業です。ここは1933(昭和8)年に豊田自動織機製作所に開設された自動車部を起源とします。その豊田自動織機は、豊田佐吉が創業したグループ本家であり、トヨタ自動車を始めとしたグループ各社の大株主でもある。豊田自動織機は今年、エンジンの累計生産台数1500万台したそうなんだが、同社の展示では、高張力鋼板を使い、駆動用モータやインバータ、2次電池など、EV用部品の搭載に適した電気自動車(EV)向け専用のプラットフォームが目を引きます。軽量化やコスト削減を実現したこの規格は、汎用性の高さでトヨタ系列内だけでなく、世界市場を視野に入れた展開を考えているようです。
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※展示ブースでプレスカンファレンスをする豊田自動織機の豊田鐵郎社長(豊田佐吉の甥でトヨタ自工の第五代社長、豊田栄二の次男)。

しかし、古さで言えば、トヨタ紡織のほうが豊田自動織機よりもっと古い。グループの最古参といっていいでしょう。豊田佐吉が1918(大正7)年に設立した豊田紡績が源流で、車や鉄道、旅客機などのシートを開発している。シート以外にも高精度高速プレス技術を利用したハイブリッド用モーターコアの製品化に成功。展示ブースでは、車内インテリアのプレゼンテーションや新たなスポーツシートを提案しています。ほかに「トヨタ」がつく企業は、トヨタ車体やトヨタ自動車東日本、豊田合成(とよだごうせい)があります。

トヨタ車体は、トラックボディの専門メーカーとしてトヨタ自工から分離した企業。今回の展示では、愛知県豊田市で実証運用している都市交通システム「Ha:mo(ハーモ)」向けに開発された超小型電気自動車(EV)「コムス」のタンデム(前後)二人乗りモデル「T・COM」を発表。小回りが利き、細い路地でも自在に出入りできるサイズ。高トルクのモーターで登坂能力も高く、山間地や島嶼部などで利用可能だそうです。トヨタ本体が「FV2」などの先進的野心的なコンセプトカーを発表したのと対照的に、トヨタ車体のブースからは実用的で現実的な戦略が見えてきます。
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※二人乗りタンデムの「T・COM」。

トヨタ自動車東日本の場合、もとは関東自動車工業であり、さらに源流をたどれば戦前の中島飛行機に行き着く企業です。トヨタ車専用のボディメーカーで、今回、トヨタの5人乗りハイブリッド「AQUA」の4人乗りオープンカー「AQUA AIR」を参考出品しました。また、豊田合成は、トヨタ自工のゴム部門が独立し、戦後になって創業した企業。各種エアバッグやポップアップフードアクチュエータなど、安全性能向上に関連した製品や、軽量ウェザストリップ、樹脂フューエルフィラーパイプ、車載用LED照明といった環境負荷を軽減する技術などを展示しています。
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※豊田合成のエアバッグ展示。

そのほか、アイシン精機は、トヨタ自工が戦前に作った「東海飛行機」がもとになった企業です。燃費向上に貢献する電動ポンプや車両の軽量化に貢献するボディ関連製品、環境対応技術、スポーツカー向けマニュアルトランスミションや高性能ブレーキ、最新のカーナビゲーションシステムなどを展示。また、商用車用ハイブリッドオートマチックトランスミッションシステムを世界で初めて披露しました。さらにジェイテクトは、トヨタ自工の工作機械部とベアリング部が合体した企業。直進走行時にエンジンのエネルギーを無駄に消費しないEPS(電動パワーステアリング)を作っています。これは、エンジンを動力源としないため、ハイブリッドカーやEVなどには欠かせない技術です。さらに、トヨタ系のカーエアコンと言えばデンソーでしょう。トヨタ自工の「電装部」という意味。「トヨタ村」と「スマートモビリティシティ」の両方で展示しています。また、1998(平成10)年にトヨタ自動車の傘下に入ったダイハツはもちろん、日野自動車、トヨタホーム(スマートモビリティシティ)なども出展しています。
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※ダイハツの新型「KOPEN」。

こうやってトヨタ・グループ各社の展示を眺めていると、なにやら同社の長い歴史が浮かび上がってくるようで興味深い。それぞれ得意分野があり、中核企業であるトヨタ自動車がそれらをとりまとめ、さらに系列以外の市場も見据えた戦略で展開を考えている。むしろ、トヨタ自動車で「テスト」をし、そこで実績を積んで他社製品への採用をもくろむ、といったしたたかさが見え隠れします。豊田家には「一代一事業」という家訓があるそうです。安心安全だけでない環境負荷軽減技術やさらなる快適性を模索する技術など、グループ内で常に切磋琢磨する、という社風があるんでしょうか。

表題の記事では、東京モーターショーで発表された各社のエンジンなどについて書いています。これもなかなか興味深い。ターボエンジンを発表したトヨタ。過給器付きハイブリッドの三菱。ハイブリッドとガソリンエンジンの二頭立てのホンダ。EVとスポーツカーの日産、ガソリンとCNG(圧縮天然ガス)のマツダ。多種多様ながらターボやスーパーチャージャーなどの過給器技術でエンジンの小型軽量化へ向かう方向は維持しつつ、EVやFCV、他燃料系といった全方位を見据えた戦略を採らざるを得ない各社の悩みがうかがわれます。

エンジニアtype
思惑は5社それぞれ。東京モーターショーに見る国内メーカーのパワーユニット戦略


駒大2冠で見えた箱根の「主導権争い」。~今季の駅伝は序盤戦に要注目~
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冬の大学スポーツってのは、サッカーやラグビー、そして箱根駅伝ですな。もう今年もそんな話題が出る時期になってしまった。速い選手を集めれば、それで勝てる、というほど箱根は単純じゃないそうです。しかし、やはり日体大、早大、駒大、東洋大、帝京大といったところが本命でしょう。この記事によると第90回を迎える来年は駒大が強いらしい。無名大学にとって大学スポーツでの活躍は名前を売る最大のチャンス。ただ、予選会には東大や東大大学院、一橋大学なんかも出てます。どうして東大が二つも出るのか、ちょっと疑問。今回は、特別枠が3つ増え、合計23校が出場します。すでに出場を決めている前年上位10校のシード校は、日本体育大学、東洋大学、駒澤大学、帝京大学、早稲田大学、順天堂大学、明治大学、青山学院大学、法政大学、中央学院大学。10月に行われた予選会で、東農大、山梨学院大、東海大、神奈川大、国学院大、大東大、専大、日大、拓大、城西大、上武大、中大、国士舘大、という残りの13枠が決まりました。

役立たずのインフルエンザの予防接種
信託大好きおばちゃんのブログ
いや、役には立ってると思うんだが、予防接種というのはとりわけインフルエンザに対して万能というわけじゃありません。抵抗力が弱ってたら効力を発揮しないし、ウイルスの型が違えばダメ。インフルエンザではない普通の風邪をひくこともあります。しかし、このブログ主さんは予防接種に5000円以上も払ってるらしい。コレ自治体の助成金の額や自由診療である病院によっても違うし、大人と子どもによっても費用が違うわけです。だいたい3000円、というのが全国平均らしい。しかし、5000円台、というのは高い。一般的に大都市圏が高い傾向にありつつも大阪府は安いらしい。あと、風邪ひいてたりして熱があると予防接種できませんよ。

ブログに1000件も嫌がらせコメントを書かれないように、はてなにしてほしいこと。
情報の海の漂流者
しかしヒマな人もいたもんで、こうゆう粘着なことして何が楽しいのか、さっぱり理解できません。これで胸がすっとしたりするんでしょうか。嫌な気分になったりしないのかな。まあ、良くも悪くもこういう不特定多数の匿名さんがたくさんいてこそ成立するのがネットの世界、というわけです。

BRUTUSの丁寧な仕事っぷりに、一部のWEB編集者の体たらくを嘆きたくなった
焼きそば生活
こんなの端的に言って取材費が違いますわな。この雑誌が広告費、どれくらい入ってるのか未知なんだが、天下のマガジンハウスです。かなりカネかけて作ってる。たとえば、小津安二郎の映画に出てくる「食事」を再現するページだって、これ作って撮影するだけでン十万円は軽くかかる。あと時間も贅沢に使って作ってるハズ。カネかけて時間かければいいってもんじゃないんだが。いろんな意味でweb媒体は反省の毎日です。


アゴラ編集部:石田 雅彦(写真も)