あまりにもわかりきったことなので先週のこども版に書いたら、この程度のこともわからない人々が大騒ぎしているので、本当に小学生でもわかるように、初歩的なことから説明しておきましょう。
自民党の石破幹事長がデモを「テロみたいだ」と言ったことが話題になっていますが、かりにデモがテロと認定されたとしても、秘密保護法でデモを禁止することはできない。条文を読めばわかるように、これは特定秘密の取扱者を制限する法律だからです。警察がデモについての情報を機密指定することは今でも可能なので、何も変わらない。
朝日新聞がまた1面で騒いでいる原発についての文書も同じです。これは今でも機密指定されているので、秘密保護法ができても何も変わりません。この秘密をもらした官僚や記事を書いた記者は、今の国家公務員法で処罰できます。今は役所ごとにバラバラに指定されている機密を安全保障に関してだけは統一し、管理をきびしくしようというのが秘密保護法です。
変わるのは、これまで国家公務員にかぎられていた情報管理の対象を広げることです。といってもこれは一般人のことではなく、重要なのは政治家の情報管理です。9・11のとき田中真紀子外相が国防総省の避難先をしゃべったように、政治家の情報管理はいい加減なので、アメリカは軍事行動の計画を日本に知らせてくれません。これでは今後、緊急事態に対応できない。
公務員の家族や友人、それに特定秘密にアクセスする民間企業の社員にも守秘義務がかかることがあります。自衛隊の出入り業者については今でも守秘義務がありますが、他の役所では曖昧なので、「適性評価」をして守秘義務が課せられます。これはNDA(守秘契約)のようなもので、民間でも常識です。
「特定秘密」の範囲が曖昧で拡大解釈できるというのも今と同じです。各官庁がやっている機密指定の基準を決めて第三者機関でチェックする必要がありますが、それは今回の法案とは別の話。法案では4分野に限定しており、今よりましです。他の官庁には、機密指定の基準も解除の期限もありません。
要するに、軍事・外交機密にアクセスする可能性のない99.9%以上の国民にとって、今回の法律は何の影響もないのです。戦前には治安維持法という国民の言論を取り締まる法律がありましたが、今回の法律の対象は基本的に公務員と政治家ですから、よい子にも関係ありません。