円安が進んでいます。米ドルは1ドル=103円台、ユーロも1ユーロ=140円近くまでと、円が下落しました。円安ということは、円の価値が世界的に見て低下していることを意味します。
例えば、100万円は1ドル=80円の時も、1ドル=100円の時も100万円のままです。しかし米ドルに換算してみると、12,500ドルだったものが10,000ドルに下落しているのです。
何でも円で考える世界で生活していると何も変わっていないように見えますが、グローバルな視点で鳥瞰すると日本人の金融資産に大変動が起こっていることがわかると思います。
このような為替の動きに対して、日本の個人投資家がやるべきことは、将来の為替レートの予測をすることではありません。
今やるべきなのは、まず自分の資産の見直しです。保有している金融資産をすべて時価で評価し、自分の資産が全部でいくらあって、それがどのような資産に配分されているか。現状把握をすることから始めてください。
次に考えるべきことは、外貨資産の比率です。自分が持っている資産のうち投資に回しても良い資産の比率を考え、その資産を円貨と外貨にどう配分するかを考えるのです。
例えば、金融資産を1000万円保有していて、200万円は生活資金や近い将来使う予定があるとします。すると800万円が長期で運用できる資金になります。もし、円安になるか円高になるかわからないと思うのであれば、それぞれの確率が50%ですから、800万円を円貨と外貨に半分ずつというのがロジカルな考え方です。
そして、外貨資産を運用資産の半分というのをベースに、自分の円高リスクに対する許容度や実際に投資する資産への配分比率などを考え、最終的に外貨資産の保有比率を決めていきます。最終的に40%の人もいれば、60%の人も出てくると思います。
外貨資産を保有しないで、円資産を100%保有しているということは、これから円高になるというかなり強い予想をしていることを意味します。どうなるかわからないという人は円100%ではなく、円と外貨で半分ずつ、というのが基本のあるべき資産配分なのです。
外貨資産の保有に関しては、以前から何度も繰り返し強調してきましたが、まだ円資産100%という方もいるはずです。
「今更ここで外貨資産を保有しても……」
と思うかもしれません。
しかし問題は現状の水準ではなく、これから先のことです。1ドル=100円も103円も、為替の変動の中で見れば大きな差ではありません。もしこれから1ドル=113円になるのと、1ドル=93円になる可能性の、どちらが大きいかわからないのであれば、今からでも外貨資産を少しずつ組み入れていくべきでしょう。
資産運用も人生と同じ。過去を振り返って後悔しても何も変わりません。それよりも、これからの未来に後悔しないために今何をすべきかを考える。その方がずっと有益で、自分の将来に変化を与えてくれます。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。