お買い物を楽しんでますか?

アゴラ編集部

こないだ用事があって家電量販店へ行きました。何げなく店内放送を聞いていたら「お買い物を存分にお楽しみください」的なことを連呼していました。この「買い物を楽しむ」というフレーズ、どこかで聞いた覚えがある、と思ったら楽天サイトのコピー。キャンペーン終了の最後なんかに「引き続き、お買い物をお楽しみください」といったフレーズがよく書かれています。


なんのことはない「買い物を楽しむ」というフレーズなんだが、どうも引っかかってしまいます。世代的なもんなんでしょうかね。「買い物を楽しむ」という感覚がしっくりこない。そもそも個人的に店へ足を運んで何かを買う、という行為を「楽しい」なんて感じたことはほとんどありません。これが食事なら「楽しむ」という感覚はわかります。

しかし、買い物って五感で「楽しむ」ものじゃありません。買い物をして快楽を感じるのは人間だけでしょう。人間には溜め込んだものを一気に使ってしまいたい衝動があるようで、「ケとハレ」の「ハレ」の舞台でパァっと「蕩尽」したりします。古い話で恐縮なんだが、テレビ番組『がっちり買いまショウ』で漫才コンビ夢路いとし喜味こいしが「10万円、7万円、5万円、運命の分かれ道!」と煽ったのも「買い物」が「非日常」の行為だったからでショウ。

かつて「貯蓄は美徳」というスローガンが、いつしか「消費は美徳」になっていきました。所得倍増計画あたり高度成長期あたりでしょうか。「もったいない」という言葉も死語になった。核の時代になって戦争で「パァっ」と使えなくなったというのもあるかもしれない。歴史の教科書で大正期の成金が玄関の暗がりで札を燃やして明かりにする、という描写があったように、昭和から平成のバブル時代にはムダ使いが奨励されたり、既存の価値がダダ下がりになったりしました。

その後、あちこちでバブル経済が弾け、金融工学が行き詰まり、グローバル化でカネの流れが変わり、先進国の消費が減退するようになりました。庶民の間でデフレ化が進み、賃金が上がらないので相対的にエンゲル係数だけが上がり、買い物はじっくり選んで結局、買わない、といったことがあちこちで起きています。実物はリアル商店で熟慮し、自宅へ帰ってからネットで格安品を探して買ったりする。家電量販店が「買い物を楽しんでください」と煽るのに、実態は全くともなっていません。

誰だって必要ないものなど買わないでしょうし、不景気で将来設計に不安がある以上、財布の紐が固くなるのは当然でしょう。さらに来年から消費税も上がります。一過性の駆け込み需要で景気が良くなるとも思えません。こんなご時世で「買い物を楽しもう」と言われてもオッサン世代に限らず、違和感を抱くんじゃないでしょうか。ようするに「頭が悪い」フレーズということにつきる。同じ煽るなら使い古された慣用惹句じゃなく、もっとヒネリを効かせたコピーにしろよ、と思う。たとえば「お買い物は当店とお客さまとの勝負です」とか「いかに安く買っていただくかチャレンジです」とか。最初に戻るんだが、そもそも「買い物」って、そんなに「楽しい」ものなんでしょうかね。

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アゴラ編集部:石田 雅彦