「JK」ブランドで失った「恥」の概念

アゴラ編集部

「JK」なる略語が出始めたのはいつごろのことだったでしょうか。この「女子高生」をあらわす「JK」。「女子中学生」だと「JC」になります。なぜこんな略語になっているか、と言えば、ストレートに「女子高生」と口に出したり文字に書くと差し障りがあるからでしょう。


18歳未満の少年少女を対象にした「青少年保護育成条例」は、テレクラや出会い系サイトなどで少女らがいわゆる「援助交際」を始めて大きな社会問題になってから、ほとんどの各都道府県に制定され、拡大的に強化された条例です。18歳未満の女性を「買春」すれば、この条例により買った側が処罰され、マスメディアに本名などが流された場合、社会的に「抹殺」されてしまう。そのため「女子高生」という言葉がタブーのように隠語化され、略語にして表現をあいまいにボカす、というわけです。

いい年をしたオトナが未成年の女性を買春するのは、日本に限ったことではありません。「ロリータ・コンプレックス」は、『不思議の国のアリス』の英国にも、『ロリータ』のナボコフを生んだロシアや米国にもある。キリスト教社会では道徳的に少女を対象にした児童性愛はタブーです。欧米の多くの国では、幼児や未成年者に対する性犯罪に厳罰化の傾向がある。日本ではとりわけ1980年代末、宮崎勤が起こした幼女誘拐殺人事件以降、こうした異常性癖が大きくクローズアップされました。

ところで、アゴラの所在地は神田なんだが、近くには秋葉原があります。この秋葉原という街の変貌ぶりが加速しつつあり、すでに家電街ではない。パソコン街ですらありません。今の秋葉原を占拠しているのは、アニメ、ゲーム、フィギュア、同人誌、そして「女子高生」です。いわゆる「オタク」と呼ばれる男性たちのメッカになっている秋葉原。「オタク」が「JK」好き、というのはなぜか常識なんでしょう。本当に女子高生かさえ疑わしい「JKブランド」をエサに、彼らをターゲットにした風俗ビジネスが秋葉原では常態化しています。

12月11日、その秋葉原で50代の男性が警視庁少年育成課に逮捕されました。容疑は児童買春違反。「JKお散歩」と呼ばれる女子高校生が客との食事やデートに応じるサービス店で知り合った高校2年、17歳の女子生徒にわいせつな行為をした、ということのようです。

以前、この街では「JKリフレ」なるサービスが隆盛を極めていました。「リフレ」は経済学用語ではありません。「リフレクソロジー」の略。なんでもかんでも略語にしたがるのも「オタク」の習性です。「JK」が個室で添い寝したりマッサージするサービスで、未成年売買春の温床になる、と警視庁が取り締まりを強化。「JKリフレ」は影を潜め、その代わりに出現したのが、個室ではなく「店外デート」をする「JKお散歩」でした。

社会規範やタブー、モラルといったものは、時代の変遷とともに変質し、各地方や国、民族によっていろいろです。たとえば、日本の場合、親の同意があれば女性は16歳から結婚することができるんだが、男性は18歳からしかできません。戦前の民法では、それぞれ15歳と17歳からに1年早まっていました。婚姻年齢に男女で差をつけている国はそう多くない。この2歳の年齢差は、十代の女性を特別視する日本特有の社会規範を象徴しているのかもしれません。

宮崎勤の事件が起きたバブル期を境に、日本人のモラルは大きく変質し始めた、と思います。その結果「JK」ブランドが「オタク」の街で蔓延ったりする。自分の「欲望」を充足させるためには、人の目など気にならない。制服を着た「JK」と街でデートする恥ずかしさ。ヘイトスピーチを唱えながら集団で街を練り歩く恥ずかしさ。アイドルのライブチケットのためには売春さえする恥ずかしさ。こうした「恥」を感じる感性、「羞恥」や「含羞」の概念は、すでに日本人にはなくなってしまったんでしょうか。

グダちゃん日報
2013年の日本の文化が宗教化しまくってる件


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アゴラ編集部:石田 雅彦