舛添さん、東京の自転車シティ化はぜひ大胆に進めて下さい

本山 勝寛

新都知事に就任した舛添要一氏が、就任会見で自転車レーンの整備を含む交通体系の抜本的見直しを挙げ、さらには産経のウェブサイトizaにも同様の寄稿を寄せていた。かなりの力の入りようである。排気ガスの減少によるヒートアイランド化の抑制、大地震など災害時における帰宅困難者への対策、個人の健康促進と生活習慣病の予防などをそのメリットとして挙げ、歩道、自転車道、自動車道を分けるスウェーデンのストックホルム型を目指すとしている。


私はこの案には大いに賛成だ。舛添都知事が挙げているストックホルムもさることながら、世界で自転車通勤・通学の割合が最も高いのはデンマークのコペンハーゲンで実に36%にものぼり、さらに50%まで上げること目標としている。北欧に限らず、先進国の多くの大都市は自転車の活用を都市計画のなかで積極的に推進している。エコと健康という二点を同時に促進する自転車は、今や都市の成熟度をはかるシンボルになっていると言ってもよいかもしれない。

私もここ6年くらい自転車通勤を続けているが、満員電車を気にしないでよいうえに、定期的な運動になり、さらに通勤時間も短縮されるので、とても満足している。勤務先でも自転車通勤手当制度が整備され、同様にチャリ通する同僚が徐々に増えてきた。街を走っていても自転車通勤者は明らかに増加している。

快適!自転車生活の楽しみ方
夢ツキ倶楽部
ジーラック書房
2014-01-29


ただ残念なのは、大半の道路には自転車専用レーンがなく、車道横に違法駐車をしている車が多いため、かなり走りにくいことだ。そのためか、日本では自転車が歩道を走るケースも多いが、自転車対歩行者の交通事故数は2000年の1800件から2010年には2700件と増加している。自転車事故を防ぐためにも、自転車専用レーンの整備は喫緊の課題だ。

日本は実は自転車大国てもある。大阪市は自転車通勤率が25%(平成12年国勢調査)とコペンハーゲンに次ぐ高さ、満員電車のイメージが強い東京でも14%と比較的高い。日本の人口百人当たりの自転車保有台数は68台で、オランダ、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンに次いで世界第6位、北欧諸国とほぼ変わらない。通勤だけでなく、保育園の送迎などに子どもを二人乗せて電動付き自転車に乗っている風景も日本ならではのお馴染みの風景だ(うちもよく乗っている)。

せっかく自転車に乗る文化が定着しており、アメリカやカナダなどと違って自転車での移動がちょうどよいくらい国土がコンパクトなわけだから、自転車道をしっかりと整備し、安全で安心して利用できる交通網がしかれることを望む。人口密度の高い東京でやるのは容易ではないが、就任早々やる気満々の舛添さんにぜひともがんばっていただきたい。

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。