オバマ米大統領の支持率は、過去最低の41%へ沈みました。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙/NBCが共同で行った世論調査によると、支持率は、前回1月の43%から2%ポイント低下。不支持率は54%と、2013年12月の過去最高に並ぶ体たらく。レームダックを目の当たりにしています。
そんなオバマ米大統領、12日にマンハッタンは42丁目に建つギャップの店舗を訪問しました。ギャップといえば、2月27日の決算発表に合わせ最低賃金を9ドル(920円)から10ドル(1030円)へ変更する方針を明らかにしたばかり。オバマ政権側も7.25ドル(740円)から10.10ドル(1040円)への引き上げを目指しており、今回のお買い物ツアーは最低賃金引き上げに向けたパフォーマンスであると同時に、ギャップへの「ご褒美」だったんですね。
最低賃金だけでは、ありません。オバマ政権は残業支払い規制も、現行の週当たり455ドル(4万6630円、年収2万4000ドル/246万円)から引き上げる提案を検討中。現状でどこまで引き上げるかは不明ですが、他州と比べて物価が高いカリフォルニア州の例では週当たり640ドル(6万5600万円)、ニューヨーク州では600ドル(61万5000円)に設定されてるんです。
ところが、実際はもっと野心的になりそうな予感。CBSによると、ホワイトハウス付けの元エコノミストなどの間では週当たり1000ドル(10万2500円)へ引き上げ案をプッシュしており、マネージャー職まで対象とする案を推進中なんだとか。オバマ政権はあらためて格差社会の是正に向け、中低所得者層を取り込むスタンスを明確化したかたちです。
ちなみにオバマ米大統領、ギャップではミシェル夫人と2人のお嬢様方のためにお買い物しました。いわく「我が家の女性陣はきっと気に入るはず」と自信満々だったようです。
ファーストレディにはこちらのワークアウト・トップ($64.95/6660円)をチョイス。
お嬢様方には、カーディガン($44.95ドル/4610円)に白羽の矢を当てました。
(以上3点、出所 : Gap/Today)
世論調査に話を戻して。
米大統領だけではなく、米議員への見方も厳しい。中間選挙で現職議員が再選を望む回答は34%に過ぎず、新人が当選すべきとの回答が55%にいたっています。また、仮に本日投票できるなら新人候補に投票するとの回答も、54%と過半数を超えていきました。
1月に肝煎りでスタートした半面、システム障害でツチがついた医療保険制度改革はというと「良い考え」との回答をみると35%、「悪い考え」が49%となり評判の悪さが目立ちます。一方で、医療保険制度改革の考えを投票に反映するかというとそこは別物なんですね。民主党員で55%、共和党員で37%。意外にも、2013年10月に債務上限引き上げ・暫定予算の交渉で人質にされた当時アメリカ市民が懲りたように、重要視しているようにはみえません。
なお医療保険制度改革を通じて設置された保険市場エクスチェンジには、2月末までに420万人が登録していました。1月の220万人かまでにほぼ倍増しています。2月ベースでは94万人が登録し、1月の110万人から伸びを縮小。3月末までに700万人と掲げたオバマ政権が当初目標からは、程遠い数字となっています。まぁ、同サイトのシステム障害後に非現実的として撤回されましたけどね。
カギとなる18~34歳は1月初めの48万9000人から110万人へ拡大しつつ、全体では27%を占めており一部の専門家が予想した40%以下と振るいません。全体的に期待していたよりは課題が残る結果なだけに、オバマ米大統領は映画「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(The Hangover)」でお馴染みコメディ俳優、ザック・ガリファナキスのトークショー「Funny Or Die(笑わせてナンボ)」に出演し、起死回生を狙ったのかも・・。
かつてジャスティン・ビーバーが出演してお尻を叩かれたいわくつき番組。
(出所 : The Verge)
世論調査では、ウクライナ情勢が緊迫化を受けたアメリカ人の本音も探っています。気になるロシアへの評価は、「敵対者」が72%と圧倒的に多い。「協力関係」は19%に過ぎませんでした。一方で海外での軍事介入には、民主党および共和党のうちそれぞれ約5%が支持を表明するのみ。反対意見へ収束しており、オバマ政権は今後クリミア半島での緊張が深刻さを増しても外交路線での事態打開が求められます。
なおWSJ/NBCの調査は、3月5~9日に1000人を対象に電話で実施していました。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年3月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。