孫正義氏とヤフーの「野望」

アゴラ編集部

Yahoo! JAPANを運営するヤフー株式会社は、そもそも米国Yahoo!と孫正義氏のソフトバンクが合弁で立ち上げた企業です。両社のつながりについて、あまりよく知らない人もまだいるんだが、今ではヤフーはソフトバンクの連結子会社になっている。ヤフーといえば、孫氏が2012年4月に前社長の井上雅博氏の首をすげ替えた「事件」が記憶に新しいところです。


孫氏は、日本テレコムやボーダフォンの買収など、資金の出入りが激しい「仕掛け」で攻勢をかける手法で有名です。そのため、本体のソフトバンクがしばしば資金ショートに陥ることもあった。立ち上げ以来、順調に業績を伸ばし、莫大な利益を上げ続け、日本のネット業界で大きな位置を占めるようになったヤフーと同社を切り盛りする井上氏の存在は、そうした孫氏やソフトバンクにとって頼もしい存在だった、と言えるでしょう。

しかし、孫氏はそんな井上氏を「更迭」した。その理由はいろいろ取り沙汰されているんだが、大きかったのは井上氏の「堅実過ぎる」経営スタイル、と言われています。井上氏は、石橋を叩いて渡るどころか石橋を叩き壊すようなことをする傾向があった。そのため、新規案件などがなかなか通らず、失望した幹部や若手社員が続々と辞めていったようです。そうした現状に気づいた孫氏が、ずっと貢献してきた井上氏に引導を渡さざるを得なかった、というわけです。

井上氏からトップを交代した宮坂学ヤフーCEOは、就任早々の2012年4月にオフィス用品の通販業者アスクルと資本提携をしてECへ進出したのを皮切りに、クックパッドやGREE、DeNA、カカクコム(食べログ)などと業務提携をしたり、Adobeと広告分野でタッグを組んだり、「爆速」というスローガンを掲げて積極的な経営展開を進めています。また、サイバーエージェントFXを買収して金融事業へも進出し、Tポイントカードとも連携。

さらに、Yahoo! JAPANのホームページも刷新し、Yahoo!オークションを「ヤフオク!」に変え、楽天に対抗して立ち上げたネットモール「Yahoo!ショッピング」のストア出店料と手数料を無料にするなど、新機軸を次々に打ち出している。直々に孫氏の意向を受けているのか、井上氏「更迭劇」を間近に見て孫氏の意向を忖度しなければ生き残っていけないからか、ちょっとわからないんだが、2012年4月からヤフーは生まれ変わったように生き生きとし始めます。

そんなヤフーが、親会社のソフトバンクが持っていた携帯キャリア会社「イー・アクセス」を3240億円で買収すると発表しました。これがプレスリリース。新社名は「Y!mobile」らしい。このイー・アクセス、6月にPHSキャリアのウィルコムと合併するのが決まっています。黒字続きのヤフーには潤沢な資金があります。今回の買収劇で、ヤフーからソフトバンクへ数千億円規模の資金移転ができる。米国での市場拡大を狙っている孫氏が仕組んだものとの見立てもあるんだが、ヤフーが持つコンテンツ事業と携帯端末でのサービスを合体させ、より大きなシナジー効果が期待できる、という話もあります。ここんところ米国にばかり目をとらわれている風情のあった孫氏。今度は日本でいったい何を目論んでいるんでしょうか。

TechCrunch 日本版
ヤフーがイー・アクセスを3240億円で買収、「Y!mobile」で携帯事業参入へ


Ukraine’s Combat Dolphins Now Swim for Russia
livescinece
「ホモ・ドルフィネス」という言葉があります。人間イルカ、というような意味なんだが、水中出産で生まれた子どもに水中生活に適した身体性を持たせる、という国家的プロジェクトがかつてのソ連にありました。安部公房の小説『水中都市』みたいな話です。冷戦時のソ連では、こうしたおかしな軍事研究が行われていました。米国もイルカを調教し、ソナーや爆弾を装着させて軍事的に利用しようという研究がなされていた。ハワイ、オワフ島のカイルア沖合に「Moku O Loe」という小島があります。ここにハワイ大学の研究施設があるんだが、イルカやゴンドウなどが飼育されている。もとは米国海軍の施設です。この記事によれば、ロシアに統合されたクリミアに、旧ウクライナが飼っていたイルカやアシカがいるらしい。米国はサンディエゴの「Pacific Marine Mammal Center」で、まだイルカを研究しているそうです。ただ、イルカやアシカは敵と味方の識別ができないため、今では爆弾を抱えて敵艦へ突っ込む、というような利用法は非現実的、と考えられています。

「Watch Dogs」の舞台となるシカゴの街を紹介する新たな解説トレーラー“Welcome to Chicago”が公開
doope!
PS3やPS4、XBOX、Wii用のゲーム「WATCH DOGS」が話題なんだが、これはゲームの舞台となる米国シカゴの街とゲームシーンを紹介したPVです。シカゴ市内で車はぶつかりまくるわ、銃撃戦が行われるわ、爆弾が爆発するわで大変なことになっている。シカゴは素晴らしい街で、魅力的な美術館や博物館、水族館があります。近郊には、人間の輪切りの博物館とか建築家フランク・ロイド・ライトの作品が並んだ街並みもある。当方はバッファローチキンが大好物なんだが、シカゴのシェラトンホテルのバーで食べたのが今のところ最高に美味かった。あと、ミシガン湖に面しているために内陸部なのに水兵の姿が多い街。もちろん、ゲームみたいな危険はありません。

The Week In Drones: Russia Has A New Prototype, Alaska Bans Drone Hunting, And More
POPULAR SCIENCE
半コントロールや自律的に飛行する無人機「ドローン」についてのいくつかのまとめ記事です。この中で、アラスカのハンターたちが、ヘラジカなどのターゲットを見つけるために「ドローン」を使っていたんだが、それが同地区の狩猟団体によって禁止された、という話がある。Amazonが商品の配達用に使い始めた、というように「ドローン」技術はもうかなり進歩していて、いろいろな場面で活用されるようになっています。アラスカの狩猟については「ドローン」と同様、毒物や爆弾、無線通信などの使用も禁止されたようです。

Moment a deaf woman could hear for first time
The Telegraph
この記事で紹介されているのは、40年間、耳が聞こえなかった女性が、人工内耳のおかげで人生で初めて音を聞いた瞬間の動画です。日本には、耳が聞こえない振りをしていた自称音楽家、なんてのもいるんだが、こういうのを見ると本当に冒涜的だな、と思います。人工内耳は、聴覚障害者の内耳にある「蝸牛」と頭部に装着したマイクロフォンをつなぎ、外部の電気的な信号を「蝸牛」に送って音に変えます。日本では保険も適用されるようです。一方で、人工内耳は、言語習得などの点から乳幼児の時期から装着したほうがいい、というものの、外科的手術などが必要な人工内耳に対し、自分で判断できない乳幼児の意志を無視している、という批判もあるらしい。聴覚障害者には、彼ら独自の世界観や文化がある、というわけなんだが、これはなかなか難しい問題です。


アゴラ編集部:石田 雅彦