就活シーズン真っ盛りだ。大企業を中心に面接が繰り返されている。さて、学生向けの求人広告を見てたまに失笑してしまうのが「元リクルートのトップ営業マンの社長が率いるベンチャー企業」みたいなキャッチコピーだ。ビジネス書のプロフィール欄にもよく書かれている。これって信用していいのだろうか?元社員の私が、告白する。あえて言おう、カスであると。
何度も書いているが、警鐘を鳴らすべき時期だと思うので、書く。
結論から言うと、「元リクルートのトップ営業マン」と自称している奴は疑ってかかった方がいいというのが私の答だ。
まず、「元リクルートのトップ営業マン」に希少価値はない。なんせ、定義が怪しい。
OB・OGの多い会社であるし、なんせ、部署も多いし、四半期ごと(支社、部署によっては月間で)に表彰があるので、トップ営業マンは掃いて捨てるほどいる。通期MVPをとるとか、トップガンとして全社で表彰されるレベルでないと、いまや価値はない。
いつの時期にトップ営業マンだったかによっても価値は違う。特に求人媒体系がそうだが、環境が良い時は気合と根性でも達成しやすいのである。媒体力が強い時代などは、プッシュ型の営業で売れてしまったりもする(もっとも、他社に比べて値段が高いので、やはり営業力は必要なのだが)。
さらに、トップ営業マンはその後、管理職になっていくのでプレイヤーとしてずっと営業しているわけでもないのである。
元リクルートの定義も曖昧だ。いまは分社したので、事業会社がたくさんあるのだが、昔から関連会社はたくさんあるわけで、その社員も元リクルートと名乗っている。雇用形態も多様なのだが、誰でも名乗っている。まあ、それを許容するのがすごいところだと思うのだが。
リクルートはよく人材輩出企業、起業家養成学校と言われるのだが・・・、最新作でも書いたのだが、OB・OGのネットワークがありバックアップしあっている、退職金が多い(今までは、段階的に減っている)、社内持ち株で儲けられる、在籍時の取引先などの人脈が活きるなどの理由により、起業しやすい環境にある。
さて、この、新卒採用や、あるいはビジネス書で現れる「元リクルートのトップ営業マン」という肩書きだが・・・。
特に企業が求人広告でこの件をうたっている場合は、穿った見方をするならば、社長以外に売りがない企業ともいえる。ビジネスモデルが確立されていない、強みが確立されていない、という。
しかも、「元リクルートのトップ営業マン」なるものが、もともと怪しいのにも関わらず。
社長が「元リクルートのトップ営業マン」だとうたっている求人広告を見かけたら、この人は本当にトップ営業マンだったのか、ひょっとしてこの会社は社長しか売りがないのではないかと疑ってみることを強くオススメする。
フォローすると、リクルートグループは、少なくとも以前は営業が強い会社であり、素晴らしい営業マンはたしかにたくさんいた。顧客の課題を解決するプロたちがいた。営業の立場から新しい価値を創造していた。若手営業マンとして、その後は長い期間、営業企画担当者として、神のような営業に同行したことが何度もある。同社で尊敬される営業は、目標達成を繰り返す、達成率が高いだけではなく、顧客の課題を解決し、新たな価値を創造できる人である。
それこそ、現在の経営陣でも、口頭のプレゼンで3億円の受注を決めた人、新たな市場を作った人、科学的な営業を推進した人などが多数いるわけで。そういう人は、トップ営業マンだった事実を自ら言わない。
私が彼らを観察して得たノウハウはこの電子書籍にまとめているので、ぜひダウンロードして欲しい。
「元リクルートのトップ営業マン」なる香ばしい肩書の人を見かけたら、どの事業部で、いつ、どの期間トップだったのか、達成率だけでなくイノベーティブな事例をどれだけ手がけたのかをちゃんと確認することをオススメする。就活生、転職活動中の人もそうだし、この手の人から営業されている人も。
なお、「元リクルートのトップ営業マン」に代表される、リクルートの虚実については、決定版、最終鬼畜兵器とも言える書籍を現在執筆中である。夏にはリリースできると思う。これで、世間のリクルート像は大きく変わるはずだ。
思えば、私もある四半期で達成率トップだった。このレベルで「元リクルートのトップ営業マン」を名乗っている奴はよくいる。私も名乗ろうか。
いや、実際は、「元リクルートのトップレス営業マン」だった、私は。売れない時期の方が長かったし。営業の打ち上げで恥ずかしい宴会芸を何度もやった。これも同社の特徴ではある。『課長島耕作』の中澤部長風に言うならば「マルクスもケインズも吹っ飛んだよ」という感じだ。
今後は「若き老害」の他に、「元リクルートのトップレス営業マン」を襲名することにしよう。既にプロフィールも更新済だ。
元リクルートに騙されるな。これを4月の働くモットーにしてはどうだろうか。