アメリカの富裕層は、高値圏でも株が好き --- 安田 佐和子

アゴラ

アメリカの富裕層は、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が出口を見据えテーパリングを継続させ、かつ米中間選挙を控え、何を思うのか。CNBCがまとめた世論調査「ミリオネア・サーベイ」が教えてくれます。

まずは、投資について。S&P500の年末予想は、現状から「5~10%の上昇」が54%で最も多かったんですよ。「15%以上」は16%を合わせると、5%以上の上昇を見込む割合は70%に及びます。最下位は「5~10%の下落」で10%。「横ばい」は、16%でした。

米株相場に楽観的なだけに、新規投資での振り向け先として「株式」が46%とぶっちぎりの1位でした。2位は「債券」で21%。「キャッシュ」は14%と、まだまだ株式市場に強気な様子が伺えます。

現状のアセット・アロケーションでも、株式が45%と余裕の1位。

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(出所 : CNBC)

2014年で最も高リターンを達成するセクターには、「テクノロジー」がトップに挙がっていました。次いで金融、エネルギー、医療保険制度改革(オバマケア)の恩恵もあってヘルスケアが入っていました。テクノロジーへの強気は特に500万ドル以上を指すマルチミリオネアの間で目立ち、22%。へルスケアも15%と、500万ドル以下より強気なことが分かっています。

こんながアマゾンやニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーですが、「所得格差」についてどう思うのか。

ウォーレン・バフェット氏さながら、アメリカの「重要な問題」との回答が51%に及びました。予想通り民主党寄りのミリオネアの場合は83%と非常に意識が高く、共和党寄りは20%に過ぎません。

是正策の回答として、最も多かったのは「教育の機会」で83%。しかし2番目に多かった回答は「貯蓄へのインセンティブ」に並び、予想外にも「富裕層の増税」で64%に及んだんです。「最低賃金の引き上げ」も63%。増税と最低賃金の引き上げは、それぞれ3分の2に達していました。特に民主党寄りの百万長者が「富裕層の増税」に78%、「最低賃金の引き上げ」も77%と過半数をゆうに超える支持をみせています。反対に共和党はそれぞれ31%、38%でした。

富を築いた一番の要因はというと。

1位 ハードワーク 23%

2位 賢明な投資 21%

3位 貯蓄 18%

4位 教育 10%

5位に倹約、6位に相続が続きましたが、5位と6位は男女で違いが現れます。女性では「相続」が15%と男性の5%の3倍だった半面、貯蓄については男性が20%と女性の14%を上回っていました。なお運用資産500万ドル以上のマルチミリオネアで目立った回答は、「自身でのビジネス経営」。「幸運」との回答は、わずか1%です。

今でもアメリカン・ドリームを叶えられるかとの質問には、「可能」との回答が94%と圧倒的。アメリカン・ドリームの定義としては、「富とハードワークを通じた社会的な地位向上」で45%となっており、「物質面より精神的かつ時間的な幸福」は18%程度。とはいえ、マルチミリオネアになると精神的な幸福が63%に達し、物質面の4%をはるかに上回っていました。お金があるって、心も豊かにさせるのですね~。

同調査はCNBCがスペクトラム・グループに依頼し、100万ドル以上の運用資産を有する富裕層514人を対象にインターネットを通じて行われました。この条件に該当する割合は、全米の8%だそうです。こうなると、上位1%はもっと上を指すのかと思うと、クラクラしちゃいますね。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年5月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。