新興国の現状:広がる貧富の差

松岡 祐紀

よく人からメキシコの物価について訊かれる。
もちろん、日本に比べれば、総体的にみれば安い。

だが、そこには日本人には想像できない世界が広がっている。
貧富の差が非常に激しいのだ。

14 AM

アメリカで貧富の差が話題になっているが、メキシコはそのアメリカ以上に貧富の差が激しく、世界第33位だ。
(アメリカは50位、中国は42位だ。詳しいデータはこちらから)


そして、メキシコ人の平均給与を見てみよう。

年間の平均就労時間:2317時間、平均年収:9885ドル(約102万円)
こちらのデータによる。ちなみにメキシコは世界で最も労働環境が過酷な国に選ばれている。日本よりも労働時間が552時間も長い。祝日の少なさも影響しているのだろう)

メキシコ:メキシコ競争力研究所、鉱業はメキシコで最も高額な給与支給業種

上記によると鉱業に従事している大卒社員の平均給与は約20万円となっている。メキシコで最も高給取りの職種で、この給与だ。そして、労働者全体の平均は月額4万円となっている。これだけでもいかに、もらっている給与にばらつきがあるか分かる。

安いバーだとビール1本20ペソ(200円)ぐらいだが、大使館などがあるメキシコシティのポランコ地区のバーにいくと、同じ銘柄のビールが70ペソ(550円)する。道端で売っているタコスは1個10ペソ(80円)程度だが、富裕層が行くようなレストランはパスタが200ペソ(1500円)する。

そして、メキシコで最もお金をもらっているのは既得権益層であり、親のファミリー・ビジネスなどを継いでいる人たちだ。

フォーブス誌の長者番付、メキシコ通信王スリム氏が3年連続で首位

2013年までは世界で最もリッチな人間はメキシコ人だった。
(2014年は1位はビル・ゲイツで、2位がスリム氏だ)

スーパーリッチな人たちが多いから、その人たちが行くようなバーやレストランは一般の労働者の給与を無視した値付けをすることになる。日本のようにどこ行っても価格は平均化しているわけではないので、とても違和感が残る。

以前、住んでいたアルゼンチンも貧富の差が激しい国(世界28位)だったが、メキシコの場合は富裕層の数がもっと多いので、このようなビジネスが成り立つのだと思う。日常生活のレベルで、これほどまでに行く場所によって価格に差がある国はほかに知らない。

例えば、友人のデザイナーの月収は5万円程度だが、エンジニアの友人は月20万程度もらっている。そして親から引き継いだファミリー・ビジネスに従事している友人は、運転手付きの車を乗り回している。同じ人間の交友関係ひとつ取っても、これほどバラエティに富んでいるわけだ。

強烈な貧富の差を日常生活レベルで感じられる国だ。
これがあるべき姿だと思わないが、おそらくこの貧富の差はこれからもっと広がっていくのだろう。

新興国は日本のような先進諸国よりも、より弱肉強食で、ぼーとしていると食い物にされてしまう。それが肌で感じられるから、ある意味とても刺激がある。このような土地でビジネスをしていくのは、かなり難しいが、やりがいはあると思っている。

アジアも熱いが、ラテンアメリカもビジネスをしていく上ではとても面白いのでないだろうか?

株式会社ワンズワード
松岡祐紀
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