“から騒ぎ”では済まない都議会のセクハラ野次

新田 哲史

いやー、きのうのネット界隈は、なかなか荒れましたね。
ミクシィ朝倉さんがお人よしぶりを日経BP記者に付け込まれて記事にされたのを憤慨したかと思いきや、今度はLINEが韓国の諜報活動でシギントされていたんじゃないかという報道に、いつも眠そうな顔した森川さんが珍しく色をなして反論。そして、こちらは、LINE社内の機関決定前のお話もついつい呟いてしまうサマンサタバタさんのツイッターまでが、得意の注釈を一切付け加えずに淡々と引用に徹しているあたり、ここ数日のID乗っ取り事案騒ぎも加わって、会社全体が超センシティブになっているなー、と。そして挙句の果ては、自称地方議員ナンバーワン、ブロガーのおときた君が放った都議会のセクハラ野次告発の火が深夜のネット燎原に放たれ、彼のブログは4時間ほどでツイートが3,000を超えて、どんどん広がっております。


※問題のヤジがあったとみられる瞬間。顔を見上げる塩村都議(都議会サイトより)

それで塩村あやかさんが、どういう被害にあったのか、直接見てみないと、と思って都議会のページにアクセスしてみましたよ(直リンクしないので、平成26年第2回定例会⇒6月18日(水曜日)本会議一般質問をクリック)。

女性の妊娠・出産に関する質問が出るのが6時間34分24秒頃からです。残念ながらマイクが拾っているのは質問者の声だけなのですが、それでも議場がざわついているのは分かる。で、6時間35分14秒頃、何か言われたらしく苦笑いを浮かべて一瞬、言葉につまってしまう。おときた君のブログによると、「そんなことを言う前に、おまえが早く結婚しないのかっ!!」って野次が飛んだらしく、多分この瞬間のことなんでしょうね。ま、政治家として選挙を勝ち抜いてきたわけですから、この週末に胃痛にもだえ苦しんでた某元都知事候補者のような、そこらのひ弱な男よりも図太いはず。それでも、よほど野次の内容が酷かったんでしょうね。段々彼女の声が上擦りはじめ、質問を読み続けようと言葉を継いでいくものの、動揺した様子が画質の悪い動画でも伝わってきます。

もちろん、おときた君を始め、塩村さんの仲間であるみんなの党の都議さんたちも激オコプンプン丸なわけですが、この問題がちゃんと「世の中ごと」としてきちんと提起されるかどうかは、やっぱり議会ウォッチャーたる都庁クラブの報道機関の出方次第だと思うんですよ。先日、「言論アリーナ」で都市部地方選の低投票率の話を取り上げても、断トツにアクセス数少なかったように(泣⇒見てね)、地方議会の話は関心が薄い。ニーズが少ないから、マスコミも他のジャンルと比べても扱いが小さくなってしまうし、議場のヤジなんて普通にあるのでスルーされることも多いので、どうなるのかなー、と思っていたら心ある記者もいたようです。毎日新聞が事の顛末をコンパクトにまとめ、それがまた深夜にヤフトピに拾われたので騒ぎが拡散していくのだと期待しますが。しかし、この自民党の議運委員長の吉原とかいうオッサン、野次を「聞いていない」なんて、すごいおトボケですね。どの党の議員が野次ったのか、この辺からも疑惑濃厚なんですが。

とりあえず、塩村さんにアドバイスするならば(面識ないけど)、禍転じて攻勢に出るチャンスなのは確かです。注目度が高いうちに抗議文を出すこともあれなんですが、とにかくテレビ画面にこの問題を引きずりだして「祭り」を起こせるかどうかだと思います。

ワイドショーや夕方のニュース番組でいかに取り上げてもらうか。みんなの党のお家芸はアジェンダセッティングなわけですから、「都議会の乱れる議場マナー」という切り口で取材してもらえるように持って行けばいいのではないでしょうか。「なんで、こんなオッサンたちが年収2400万円もらってるんだ?」と庶民感情に訴えるような分かりやすい内容でね。都議会議員といえども、地方議員は、そんなにテレビの追及に慣れてないんで、メディアスクラムされると、動揺したり、あるいは引き締まったりするわけですよ。

ちなみに、私が社会部記者だった2006年、目黒区議会で政務調査費流用問題があったときは、確かTBSのスクープだったこともあり、テレビが連日やってきて議員さんたちボロカスに叩かれまくってましたからね。国会議員と比べても、特ダネ競争で情報入手の利害がさほどないので、地方議員はメディア的には遥かに与しやすい相手なんですよ。だから一度流れを作れると、短期的に激流を起こすこともあり得るわけです。おときた君が付けてくれた火にドボドボとガソリンを投入し続けること。そして都民、特に女性の怒りを喚起するようにして様々な仕掛けをしていくといいと思いますよ。

元々、「恋のから騒ぎ」出演者らしく知名度もあるはずだし、ぶっちゃけ美人で(おときたのヤツ、何で紹介してくれなかったんだ)、テレビ映えもする。ご自身も放送作家の経験があるので演出はお手の物でしょう。もうカメラの前で泣いて見せれば勝ちです。この問題を「から騒ぎ」に終わらせないように健闘なさること、都民の一人として期待しております。

あ、スペイン戦始まった。ではでは。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ