「産めないのか」というヤジはなかった

池田 信夫

都議会のヤジ騒動がまだ延焼しているが、事実関係があやふやだ。ヤジを認めた鈴木章浩都議は「産めないのか」とはいっていないと主張している。塩村都議の質問の映像でも、「早く結婚したほうがいいんじゃないか」というヤジがかすかに聞こえるだけで、「産めないのか」という声はまったく聞こえない。


前者だけならそれほどの暴言ではなく、この騒ぎが大きくなったのは後者が原因だ。アゴラでいち早く報じたおときた議員の記事でも、前者は聞こえたというが、後者は「本人によると『子どもは産めないのかっ!!』という野次まであったそうです」という伝聞になっている。これを聞いたという証言は、次の塩村氏のツイート以外にはない。

そして彼女は、騒ぎが大きくなったあと、Facebookで「マイクで拾えていないと思われた『産む』に関するヤジ、あるニュースで拾えており、ホッとしました。私の耳に入ってきたものとは少し違い『自分が産んでから』でした」と書いている。

このヤジも他の人は確認していないが、いずれにせよ「産めないのか」というヤジはなかったと自分で認めたわけだ。彼女は放送作家を自称するだけあって脚色したのかもしれないが、肝心の事実関係も確認しないで海外メディアまで騒ぐのは常軌を逸している。訂正して謝罪するのは、彼女のほうではないか。

追記:きのうの言論アリーナでおときた氏も認めたように、録音では「産めないのか」は確認できない。ただ、議場では他にも多くの女性を蔑視するようなヤジがあったという。これはネット上で話題になっている不倫の噂を揶揄したもので、自民党席から笑いが出たのもそれが原因らしい。