我々が「出版」に求めるもの

アゴラ編集部

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我々はいったい「出版」に何を期待しているのか、というのはインターネット時代に重要なテーマです。パブリッシングは大衆化と同義語であり、今も依然としてそうです。しかし、価値のありそうなものは大衆化するとたいてい陳腐化し、取るに足らないものになる。パブリッシングの歴史はこの繰り返しであり、常に新しい価値が生まれては陳腐化してきました。


インターネット時代とはいえ、これは同じ「文脈」の中にあり、PCで何やら価値のありげなテキストを書いていた人たちの「言葉」は、TwitterやFacebookなどのSNS上で陳腐化し続けています。インフラまた同じ軌跡をたどり、価値のありげな紙の媒体で金を取ろう、という魂胆はすでに陳腐化して久しい。デジタルのインフラは、ほとんどゼロに近いのでどこでマネタイズしようかパブリッシングに従事する人々は右往左往し続けています。

従来の「紙媒体」がデジタル化する、ということは単に音楽や画像、動画を貼り付ければいいというわけではありません。そんなものを読者が求めていないことは少なくともこの数年でわかった。解答はまだありません。インタラクション、参加意識、コミュニケーション、というキーワードはあるものの、いったいどうすればニーズを掘り起こせるか試行錯誤が続いています。

価値のあるものや意味のありそうなものは多種多様であり、コンテンツが膨大になればなるほど、そこから自分が本当に求めているものを探し出すことは難しくなります。大衆はコンテンツを作り出す側にいるのではなく、常に消費する側にいる。PCがスマホに代わっていったことが全てを表しているんだが、消費された途端にコンテンツは陳腐化する。コンテンツの価値や質をどれだけ長く維持し続けられるのか、異様に加速度がついた時代にはこれも難題でしょう。

価値のあるもの意味のありげなものは、その核心にいたる課程を複雑化し、長く楽しめるコンテンツになっていました。大衆化するとその核心はむき出しになり、直線的ですぐ手の届く簡便なものが好まれるようになる。しかし大衆は逆説的に面倒で手の込んだ時間のかかるものを常に求めています。いつの時代も「出版」というのは、このアイロニーを解決するためのコンテンツ提供手段なのかもしれません。

LITRAGGER
5 Myths About The New Era of Publishing


孫正義氏が考える”日本復活の方程式”とは? 「ロボットの月給は1.7万円、休日も不要」 ソフトバンクワールド2014
ログミー
動画の書き起こしサイトです。7月14日のアゴラに岡本裕明氏が「『ロボットは商品を買わない』という深刻な皮肉」というエントリーを上げていたんだが、この動画の孫正義氏は、低賃金のロボットが労働市場の主役になったとき、我々はいったいどうやって食っていけばいいのか、という「解」は言ってません。ロボットを作ることで食えばいいんでしょうか。でも、ソフトバンクのロボット、デザインや中身はフランス製だし、作ってるのは台湾ですね。どうも日本人には金を落とさない仕組みになってるようです。

Genome-wide analysis reveals genetic similarities among friends
PHYS.ORG
これは興味深い記事です。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らが、一見なんの血縁関係もない友人同士に遺伝的な類似性がある、と発見したらしい。学校のクラスには30人くらいのクラスメートがいるんだが、どうしてその中で仲良くなれる相手とそうでない相手がいるのか、ちょっと不思議でした。これは遺伝的に近い相手を選んでいるからかもしれません。我々は10世代もさかのぼるとけっこう共通祖先を持っている、ということなんでしょうか。しかし、どうして遺伝的な近さを知ることができるのか。そのへんも興味深い。この研究によると、嗅覚で嗅ぎ分けているようです。やはりヒトにはフェロモン的機能が残っているんでしょうか。さらに、我々ヒトがこの3万年の間に急速に「進化」した理由が、この研究によってわかるかもしれない、と書いています。
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19 people arrested for eating in public during Ramadan
arabian BUSINESS.COM
イスラム圏は6月29日から「断食月」つまりラマダンに入っています。まったく何も食べないわけではなく、日が暮れてから陽が昇るまでの間に一日の食事を取る。また外国人旅行者や妊婦、病人、乳幼児、高齢者などは例外らしい。この記事では、公共の場で食事をしていた19人がクウェート当局に逮捕された、と書いています。この中には、日中、路上で食べ歩きしていた米国とオランダの少女が含まれていたらしい。サウジアラビアでは外国人労働者が「ラマダン違反」で2200人も逮捕されたそうです。

This is why the World Cup trophies were handed out by Emirates air hostesses
QUARTZ
サッカーW杯の選手や監督のインタビュー時にバックにスポンサーのボードが立てられているんだが、かつては日本企業がけっこう目立っていたもんです。しかし、今回の大会ではSONYだけ。世界のトップ500社ランキングでも日本企業が激減している、という話もある。この記事では、決勝戦後の表彰式にゾロゾロ出てきたエミレーツ航空のCAさんたちの理由を解説しています。人種も多種多様でスタイル抜群でしたね。あと、ドイツ選手の夫人やガールフレンドがみなさん美女揃いなのにも驚かされました。
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エミレーツ航空のwebサイトより


アゴラ編集部:石田 雅彦