消費が減るほど、アメリカは冷夏だったのか検証 --- 安田 佐和子

アゴラ

米7月個人消費支出は、フタを開けてみてビックリの減少となりました。ブルームバーグによるとエコノミストは誰もマイナスを予想していなかったそうで、どれだけ予想外だったかが伺えます。

ニューヨーク市内では確かに過ごしやすい日が続き、「真夏日」のメルクマールである華氏90度=摂氏32度を超えた日数は8月20日頃までで、たったの4日でした。過去平均は15日なので、いかに少ないかがお分かりでしょう。昨年なんて何度も華氏100度(摂氏37.8度)の大台に乗せる酷暑だったんですけどね。

おかげで市民プールの入場者数は前年比7%の落ち込みをみせ、NY市内の電力会社コン・エディソンも電力消費量が8%沈んだといいます。

アメリカ全土での6月から8月初めの平均気温も、エルニーニョ効果で74.3度(摂氏23.5度)と過去10年間で最低を記録。電力消費に加え、行楽地や服飾小売を中心に冷夏のしわ寄せがきてしまったようです。

今年の平均気温、過去平均の73度(摂氏22.8度)は上回っていましたけどね。


(出所 : Delaware online)

エルニーニョだけでは、ありません。今年の冬の流行語の感すらあった極渦(polar vortex)の影響が、夏にまで及んでいたのです。北と東にスペリオール湖とヒューロン湖をいただき、西にミシガン湖に面するミシガン州では積雪量が947.7インチ(約24m)と過去最高を記録していましたよね。積雪量が平年を大幅に上回ったとあれば、五大湖に張った氷の量も例外的だったことは想像に難くなく・・・あろうことか、今年は6月にも関わらず氷が漂っていました!米国海洋気象庁(NOAA)の40年以上に及ぶ観測記録で、初めてだといいます。

ある意味、避暑地としては最適?

(出所 : TGLBP)

そんなわけで、今年も北極気団が猛威を振るうとの予報が出ております。天候情報サイトのアキュウェザーによると、すでにカナダ北部で勢力を増しており、五大湖周辺や北東部では早ければ9月半ばから後半にも気温が急低下する見通し。10月には、積雪もありうるといいます。2011年はハロウィーンに初雪を観測し、2012年には同じ時期にハリケーン「サンディ」の直撃に遭いましたが・・。米連邦公開市場委員会(FOMC)の敵は、米景気減速や地政学的リスクより、天候にあったりして?


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。