カンボジアが大きな成長を遂げても、変わって欲しくないこと --- 内藤 忍

アゴラ

0001

プノンペンから夜行便に乗りバンコク経由で、月曜日の早朝に羽田空港に戻りました。1泊4日(機内2泊)という弾丸のスタディ・ツアーでしたが、参加者の皆さまにはご満足いただけたようで一安心です。

3か月ぶりのプノンペンですが、毎回行く度に変化があって、そのスピードに付いていくのが大変です。今回も空港から市内に向かう幹線道路に、大きな病院がオープンしていたり、ポルシェの販売店が開店準備を始めたり、マレーシアの百貨店パークソンの建設が始まったりと、目まぐるしい動きがあります。


その一方で、ツアー参加者と一緒に行ったロシアンマーケットでは、ローカルの人たちが、のんびりとした雰囲気の中で買い物をしている変わらない光景がありました。

写真は、軒先で炭火で焼いているタコ焼きのような食べ物です。タコ焼きよりは大ぶりで中には具が入っていませんが、外がカリッとして、中は熱々でフワフワ。おやつのようなものらしく、ローカルの人たちが次々に出来立てを買っていきます。私も真似をして、5個入りを買ってみました。値段は2000リエル(約50円)。1個10円のローカルフードです。

マーケットには、肉や魚、野菜など、様々な食材が売られています。食材だけではなく、洗剤や衣料品、さらには美容院のようなお店もありました。英語は通じませんが、現地の人たちが生活するのに必要なものは全て揃っているようです。

プノンペンが今後、さらに発展を続ければ、こんなローカルのマーケットも徐々に縮小していくのではないかと思いました。6月末にはイオンモールがオープンし、今後近代的なスーパーやデパートがさらに増えてくれば、そちらにお客さんは流れていきます。無くなりはしなくても、今より活気がなくなっていくのかもしれません。

ロシアンマーケットでは、小さな子供からお年寄りまで、家族全員で仕事をしているような、光景も珍しくありません。親子3代で仲良くお店を切り盛りしている様子を見ていると、苦労もあると思いますが、何だかみんな幸せそうに見えます。

カンボジアに来ると、いつもホッとした気分になるのは、こんな日本には無くなってしまった昔の情景をこの街で見ることができるからなのかもしれません。近代化が進み、カンボジアの人たちが今よりもっと豊かに生活するようになる5年後、10年後にも、こんなマーケットがプノンペンの街に残っていてほしいと思いました。これは、先進国に暮らす旅行者のエゴイズムでしょうか。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年10月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。