当選した人達の小話 --- 宇佐美 典也

アゴラ

せっかく選挙があったのだから、選挙に便乗して何か書いてみることにしました。

といっても余り政策的なことを語るのも無粋なので、元官僚という経歴もあり縁が深い人も薄い人も含めてそれなりに官僚出身の国会議員には知り合いと呼べるような人がいるので当選した議員の方々にまつわる小話を連ねてみたいと思います。具体的に名前を挙げても怒られなさそうな同世代前後の人たちをあげていくと以下のようなところです。

○自民党 :鈴木憲和氏(元農水省)、宮路拓馬氏(元総務省)

○民主党 :福島信享氏(元経産省)、後藤祐一氏(元経産省)

○維新の党:高井たかし氏(元総務省)、足立康志氏(元経産省)丸山穂高氏(元経産省)


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自民党の2人(宮路氏、鈴木氏)は省は違えどキャリア官僚としては同期にあたりまして、入省直後の省庁合同研修で一緒に寝泊まりした縁です。かといってその後に何かあったかというとそうでもなく、それ以来数年間ご無沙汰になっていたところ、ふとした縁で退職後に何度か再会したという程度の縁でございます。研修当時を思い起こすと、宮路クンはよく笑いよく泣く大変楽しい奴でして、彼のいる場には笑いが絶えなく、研修でも常に人気者でした。研修終了後の打ち上げで、何かの仮装して走り回る彼をみて大笑いしたのを思い出します。一方の鈴木クンは強烈な思い出というのは無いのですが、地に足の着いた好青年でとにかく頭の回転が早かったことを思い出します。議員になってからも、その特性は変わらず、一方の行動力が身に付いたようで地元で何か産業を興せないか日々かけずり回っております。こうして当選した姿等を見ると「彼らも彼らで頑張ってるんだな~」などと感慨深くなります。

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続いて民主党組ですが経産省の先輩でもある福島信享氏との出会いは強烈に記憶残っております。福島氏とは入省後の一番始めのポスト(通称振り出しポスト)が経済産業省の調査統計部というところで一緒でして、そのご縁で入省後2週間くらいしてご一緒する機会がありました。

当時福島氏はもう経済産業省を退職しており、選挙に一度出馬して落選して浪人中、という身であったのですが、色々とストレスが溜まっていたのか「お前のような男を採用するなんて経済産業省も落ちたもんだな」とひたすら罵倒されました。当時の私は「なんて無礼な人なんだ」と思い、「あんたに言われたくないわ」などど怒鳴りあったのですが、今振り返ってみると、彼も当時35歳でなかなか思うようにいかない自分の身の上にストレスを感じるなか、酒に酔ってついつい浮ついた若者に噛み付きたくなったのということなんだと思います。実際当時の私は調子に乗っていたので、福島氏に叱っていただきいい薬になりました。とにもかくにもこれで2選目ということでおめでたい限りです。

一方の後藤祐一氏は私が経済産業省在籍時代にブログなどを突如始めて話題になっている頃に「面白そうな奴だから話してみたい」ということで事務所に呼んでいただきまして、色々お話しさせていただきました。後藤氏は「特区政策を立案した男」ということで省内でも有名な方だったので、私も楽しみにしていたのですが、「人事院の反対を押し切って公務員給与を減らしたのはオレだ」と胸を張って語るもので、当時の私は視野が狭く「正式な手続きを経ずに給料減らされ、あげくにそれを自慢げに語られる立場になってみろ」となんとも噛み合わないやり取りをしてしまい後悔しています。一度もう少し冷静に議論をする機会があればなーなどと思っております。

こう書くと民主党の方々に恨みを抱いているように見えますが、タイミングが悪かっただけで、何か特定の感情を抱いているというわけではありません。

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維新の党に移りまして、高井たかしサンとは、私が経産省退職後になかなか自分の進むべき道が見つからずフラフラしている時に人の紹介を通じて知り合いました。当時の彼もまた浪人の身で、私と同じような苦しみを持っていたので結構話が盛り上がり最後はカラオケなど参りました。高井サンは元々は民主党の身で国会議員になったのですが、内側から民主党が矛盾を晒し崩壊していく様子とそれを間近で見た葛藤などを語ってくれました。当時は浪人中でご自分も経済的に苦しい身の上ではあったと思うのですが、岡山の夜で飯や酒なぞを奢ってくれ、人生相談なぞにも乗っていただいたことを思い出します。政治家という厳しい路を選び落選中の身で再起を図るその背中には哀愁と決意が匂いました。今回当選して本当におめでたい次第です。

続いて足立康志サンですが、足立サンとは経済産業省時代に、サービス産業部門の統計整備、というややマイナーな政策でご一緒に仕事をさせていただきました。当時下っ端だった私は、足立サンの豪快な人柄を見るにつけ「こんな働き方もありなんだ」と妙に感心させられたことを思い出します。あんまり書くと怒られそうな気がするのですが、理論派というよりは直感派のブルドーザータイプでして、一見暴走に見えるようですがあちこちブツかってゴリゴリ掘り起こすうちに最後の最後は力技でそれなりの政策にまとめあげる剛腕を持っていました。なんとなく維新の党というのは彼の性にあっているような気がします。

最後に丸山穂高氏ですが、こちらは経産省の一つ下の代でして入省当時から生意気で評判の男でした。入省当初というのは「今年はどんな奴が入ったか」ということが若手職員の間の酒の肴になるのですが、一番名前が挙がる機会が多かったのが丸山クンでした。大物然として動じない態度と一方の新入職員らしい大ざっぱな仕事ぶりとのギャップが絶妙に一年上の我々の世代のツボにはまったのですが、経済産業省を退職してBLOGSOがらみの取材のご縁で数年ぶりに衆議院議員となった彼にあってみるとすっかり落ち着き言うこともマトモになって一皮むけており、「男子三日会わざれば刮目してみよ」などという気持ちになったことを思い出します。

しょうもない小話が続きましたが、ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のブログ」2014年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のブログをご覧ください。