ルフトハンザ航空の格安航空部門ジャーマンウィングス”A320/4U・9525便”が24日、フランスのアルプス山岳で墜落しました。乗員乗客150人全員が死亡するという痛ましいニュースに、インドネシアからシンガポールへ向かう途中で墜落したエアアジア機と同じエアバスの同型機だったことを思い出した方も多かった。就航から24年が経っていた背景もあり、一部メディアは当初、機体の安全性に目を向け報じていたものです。
一方でルフトハンザ航空のお膝元であるドイツからは同国のパイロットからは、こんな証言が飛び出していたのです。航空パイロット労働組合”コックピット”に属するマーカス・ウォール氏は、「古いというだけで安全性が損なわれることはない」とコメント。常にメンテナンスを行うだけでなく、数年ごとに部品入れ替えなど徹底検査を実施するだけに「航空機は自動車と違う」と断言しています。
CNBCで看板番組”マッド・マネー(Mad Money) ”をもつ投資啓蒙家のジム・クレイマー氏は、速報が飛び込んだ時点で「機体に問題はない」と予想。今年で10周年記念を迎えた同番組では、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が電話出演するほどの人気を誇ります。そこでパーソナリティを続けるクレイマー氏の脳裏には、個人投資家に銘柄推奨するだけに機体情報があったのかもしれません。
ジム・クレイマー氏の予想は、的中します。仏マルセイユ検察局は、副操縦士がコックピットに立てこもり故意に墜落させたと発表。ドイツ国籍で28歳のアンドレアス・ルビッツ氏は2013年にジャーマンウィングスに入社し、飛行時間は630時間だったといいます。ルフトハンザ航空の最高経営責任者(CEO)などが25日に開いた記者会見でも、初めてルビッツ氏の名前を確認しました。また、「故意に墜落させたという事実を受け入れなければならない」と述べています。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、ルビッツ氏の出身地でフランクフルトから北に約96.6km離れた町Montabaurは、名前を伏せて遺憾の意を表明しました。
ニューヨーカーからは、こんな言葉が聞かれました——「同時多発テロ事件が仇になった」。ハイジャック犯が侵入できないようセキュリティが過剰に強化されたために、ジャーマンウィングス”A320”機で操縦士がコックピットから閉め出されたと考えたためです。今回の痛ましい事件で、あらためて操縦室のセキュリティ問題が焦点となるのでしょう。
(カバー写真:shamrock075)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年3月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。