280円均一のドリンクとフードで急成長し、全国に300店舗を展開する鳥貴族という焼き鳥チェーンがあります。黄色い不思議なロゴは見たことがありましたが、先週初めてお店に入ってみました。
店内は普通の居酒屋チェーンと同じように雑然としています。高級感もないし、分煙ではないのでタバコの煙がかなりキツいです。
しかし、店内のオペレーションは効率的。お通しが無いのも好印象です。その代りクイックメニュがあって、注文してからすぐに出てくるようにしているなど、勉強になりました。
それにも増して驚いたのは、焼き鳥のクオリティの高さです(写真)。串焼きが2本でどれでも280円。
レバー、皮、ジャンボ串、もも肉など一通り食べてみましたが、どれもハイクオリティ。充分に「価値>価格」です。
焼き鳥は国産の鶏肉を使い、店内で毎日串打ちしているそうです。タレも自家製にすることで、味を引き立てています。食べてみると、セントラルキッチンで作られる他の居酒屋の冷凍ものとは味が格段に違います。この串打ちに時間がかかるから、鳥貴族がランチをやらないのです。
また、聞くところによると、鳥貴族では焼き鳥を炭で焼いていないそうです。炭火で焼くと、焼き方の技術によって品質にバラツキが出てしまいます。であれば、特別なマシンを使って安定した商品品質を維持するのは理にかなっています。
何を注文しても280円ですから、心置きなく好きなものを頼むことができます。それでもドリンク込みで会計が3000円を超えるには、かなりの飲み食いをしなければいけません。
単に低価格というだけでは無く、焼き鳥に特化して、国産鳥と店内串打ちという品質維持にこだわり、炭を使わないで均一の焼き具合で商品提供することで他の居酒屋チェーンとは一線を画しているのです。
さらに立地も、一等地の路面店ではなく、路地裏の地下や2階のような家賃の安い場所を選び、家賃比率を抑え、店舗面積も40坪程度にしてタッチパネルではない注文ができる規模にすることで顧客満足度を高めている。すべてが計算されつくしています。
鳥貴族のロゴの最後に「∞」マークが入っているのは、創業者の大倉氏の息子が所属しているジャニーズのグループへのリスペクトだという説もありますが、当初の社名「イターナル」にも通じる「永遠の業態」を目指す意味で入っているそうです。単なる偶然でしょうか?
焼き鳥の価格と味という1点にフォーカスして、他社にはない圧倒的なクオリティを提供している鳥貴族。よくあるチェーンの居酒屋に毛が生えた程度のお店だと思っていましたが、大きな誤解でした。
流行っているお店には、やはり理由がある。先入観なく、実際に行ってみないと本当の価値はわかりませんね。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。