今週もいろいろな政治経済外交関係のニュースがありましたが、その中からいくつかピックアップして私見を述べたいと思います。
まず、北朝鮮産マツタケ不正輸入事件。これが朝鮮総連トップの許宗萬議長らの家宅捜査となり、日朝政府間協議問題に発展した件を考えてみたいと思います。何故かわかりませんがこの事件の扱いが通常より小さく、今では話題に上らなくなっているのですが、何か裏でもあるのでしょうか?
このマツタケ不正輸入は輸入禁止の北朝鮮産を中国経由で中国産と偽ったという2010年の事件に関して逮捕者を出し、その一環で議長らの家宅捜査をしたというものです。明らかに「別件」でありますが、それははかどらない日朝政府間協議への抵抗なのでしょうか?そうだとすれば、北朝鮮側が頑なな態度に出ることも分かっていたはずで事実、協議中断をちらつかせた北朝鮮に対して岸田外務大臣が一蹴しています。
安倍首相が外交的勝利とも胸を張った一年前のストックホルム合意が崩れかけていることで戦略変換なのでしょうか?あの朝鮮総連ビル問題もいつの間にか別の会社が買い取り、朝鮮総連は何もなかったがごとく、今までと同様に居座っています。いったいどうなっているのでしょうか。半島は実に難しい所であります。
次の話題に移りましょう。否が応でも目に入る上西小百合議員の衆議院本会議欠席事件から始まった除名問題。コトの事実はよくわかりませんが、報道を見る限りにおいて浪速のエリカ様は不良議員で「更正指導中」だった中での話でした。正直、これほどばかばかしい話はありません。橋下最高顧問が激怒するのも分からなくはありません。ただ、問題は彼女の振る舞いというよりその程度の人材を維新の党として支援し、多くの投票を得ていたという点において議員の資質をきちんとチェックしたのか、という事ではないでしょうか?
折しも統一地方選が間もなく始まります。選挙カーから心地よいことを並び立て、それを信じた市民、国民が騙されるのはたまったものではありません。私ならすべての立候補者についてその人のプロフィールを選挙管理委員会が作ると同時に第三者からの人物像評定を公表し、更にネットなどで一般の方がコメントを書けるぐらいにしないとダメではないかと思います。今、多くの人がネットで物を買うにあたりそこに書きこまれた購入者の評価を見ているとしています。施政を司る政治家を名前と顔写真とわずかな情報だけで選ぶ時代ではないと思います。
経済関係を見るとこの一週間というよりこれから盛り上がりそうなのがシャープの産業革新機構への出資要請でしょうか?その内容が液晶部門を分社化し、1000億円程度の出資を求めるというものです。私の3月3日付ブログで「…この会社はソニーのDNAに近いものがあります。そのソニーの分社化が進んでいる中でシャープの事業エレメント考えた場合、液晶、電子部品、白物家電と非常に明白に分けやすい状態になっています。ならば責任の所在を明白にし、緊急時の切り離しがしやすい分社化は意に適う」と記させて頂いていました。正にその方向になっているという事です。
ただ、注意しなくてはいけないのは産業革新機構はジャパンディスプレイにも出資しており、仮にこの出資が実現すれば日本の液晶を牛耳ることになり、それが正しい競争なのか十分に検討しなくてはいけません。日経には同じ日の紙面で台湾の鴻海がいまだ同社にラブコールを送っていると掲載しています。あの時とは立場逆転でシャープは同社に対してかなり冷たい態度。揺れるシャープを救うのは誰か、ということになるのでしょうが、全ての国民が知っているあのシャープペンシルを作ったシャープが意味する同社のDNAは一本足というより一発逆転の経営ですからこのあたりを十分に理解した上で相思相愛の出資者を募ることが一番です。
最後にアメリカですが、昨日「アメリカ景気予想は迷走へ」と書かせていただきましたが、1-3月の企業決算見込みが前年比2.8%マイナスと出てきました。事実がそうなれば09年第3四半期以来となり、景気減速感は鮮明になります。私は要注意と見ています。その場合、日本も引っ張られることになります。アメリカは自動車販売は好調に見えますが、売れるのはライトトラックばかりで乗用車の売り上げは不振が続いています。このあたりも統計の表面に表れる数字をきちっと読み込むようにしないと判断を誤りやすくなりそうです。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本 見られる日本人 4月5日付より