ポリシープロジェクトの解説2:ポップパワー --- 中村 伊知哉

アゴラ

ポリシープロジェクト2本柱の1つ、ポップパワープロジェクトです。

CITY、COOL、CONVERGENCEの3つのサブプロジェクトで構成します。



1 CITY
デジタルの街づくりをするサブプロジェクトです。ポリシープロジェクトの総合力を都市設計に活かします。
CiPとTokyo Crazy Kawaiiとの両ユニットから始めます。



1) CiP

CiP=コンテンツ・イノベーションプログラム。
東京都港区竹芝地区にコンテンツ産業集積地を形成します。
1.5haの都有地に地上39階のビルを建設。コンテンツやITに関する研究開発、人材育成、起業支援、ビジネスマッチングを一気通貫で行うため、約8000㎡を用意し、ラボ、ホール、スタジオ、オフィス等を構築する計画です。

国家戦略特区として総理大臣の認定を受けており、テストベッドを構築するほか、沖縄・京都等の都市、アメリカ、韓国、シンガポール等の拠点を結ぶハブとして機能させます。スタンフォード大学との連携も強化します。

2015年4月、社団法人CiP協議会を設立。計画策定と運用に当たります。街開きは2019年度の予定ですが、さっそく次世代サイネージ、Artist Commons、超人スポーツ等のプロジェクトを走らせていきます。

2) Tokyo Crazy Kawaii

マンガ、アニメ、ゲーム、ファッション、食、雑貨などなど、クールジャパン業界の総合力を海外に発揮するビジネス☓カルチャーイベント。NIPPONのカワイイを世界各地でローカライズしていきます。

2013年秋、第一回をパリで開催、稲田朋美クールジャパン担当大臣にも参加いただき、大反響を得ました。2014年には台湾。2015年にはタイ・バンコクとパリでの開催を予定しています。

2 COOL

ポップカルチャーの世界展開やコンテンツの開発を進めるサブプロジェクトです。

エンタテイメント産業と連携して、音楽、マンガ、アニメ、ゲーム、お笑いコンテンツのプラットフォームを形成します。政府(知財本部、総務省、経産省、文科省)とも連携します。

Artist Commons – Sync Music Japan、海外マンガフェスタ、アニメビジネス、もしもしにっぽん、JMOOC、沖縄国際映画祭の各ユニットからなります。



1) Artist Commons – Sync Music Japan

音楽業界によるJ-Pop情報の海外発信プロジェクト「Sync Music Japan」のアーティストデータベース(約2000組)をKMDで運営しています。ほぼ全てのJ-Popアーティストの情報を扱い、海外展開の窓口となります。
Sync Music Japanの番組を制作してフランスでオンエアしたり、アメリカ・オースティンでのSXSWに出展してアピールしたりするなど、学生主体の活動も行います。

また、アーティストに固有のIDを付与し、コンテンツやグッズ、ライブ等の情報を展開しやすいようにするプロジェクト「Artist Commons」をスタートさせます。


2) 海外マンガフェスタ

内外のマンガ家と関連企業が集う「海外マンガフェスタ」を東京で開催します。
大友克彦氏、浦沢直樹氏、ちばてつや氏、松本大洋氏らが参加、仏、伊、ベルギー、EU、台湾らが協力しています。

3) アニメビジネス

日本動画協会が主催するプロジェクト。アニメとマンガ・ゲーム、音楽、グッズ等のコンテンツ分野がパートナービジネスを開発する活動に協力しています。
文科省アニメ・マンガ人材養成事業と連携し、クリエイター、教育機関、関係業界とともに育成カリキュラムの策定にも携わっています。

4) もしもしにっぽん

きゃりーぱみゅぱみゅ主演の「もしもしにっぽん」。
NHKワールドで世界放映し、ネットでも配信するほか、国内ではBSフジでオンエアというメディア融合番組。
「ICHIYA’S POP EYE」というコーナーを企画・提供。ポップな日本を英語で紹介。学生企画ネタなどをお届けしています。

5) JMOOC
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ネット無料配信の講座「ポップパワー」を提供しました。
ポリシープロジェクトに基づく「デジタル社会」「メディア政策」「クールジャパン」「デジタルキッズ」の課題に対し、受講生から実行プランを求め、それを実際に創る。新しいタイプの講座を学生たちと創っています。


6) 沖縄国際映画祭

吉本興業が主導する沖縄国際映画祭にて、世界のお笑い映像の収集・発信、コンテンツ取引市場の形成などを推進しています。コンテンツの国際プラットフォームを形成するとともに、KMD ☓ OmOの可能性も開拓します。


7)その他

◯ソーシャルゲーム
ソーシャルゲームの健全化と産業育成を図るため、社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)を設立し、活動してきました。社団法人コンピュータエンタテイメント協会(CESA)との合併に伴い、関わりが終了しました。


3 CONVERGENCE
メディア融合や新メディア開発を進めるサブプロジェクトです。
 デジタルサイネージ、IPDC、KMD ☓ OmO、IT政策、その他(ネット炎上等)の各ユニットからなります。

1) デジタルサイネージ

デジタルサイネージを一大産業・メディアに成長させるプロジェクト。

世界最大級のコンソーシアム(デジタルサイネージコンソーシアム)を形成し、技術開発、ビジネスモデルデザイン、制度改革などの活動を進めるほか、イベント開催、コンテンツ開発、政策提言などを通じ、この分野の発展を牽引します。

 ・企業コンソーシアムを通じ、産業開発、標準化等を推進
 
・「デジタルサイネージジャパン」@幕張を開催@6月 毎年13万人が参加

 ・子どものコンテンツ制作→1万面サイネージ放映をプロデュース

 ・秋葉原献血サイネージ実験、渋谷Dinnersでの実験などを実施

 ・「デジタルサイネージ革命」「デジタルサイネージ戦略」を出版
 ・2015年4月、コンソーシアムを社団法人化
 ・2020年の東京オリンピックに向け国策としてのサイネージ整備を推進中

【参考】
 デジタルサイネージコンソーシアム 会員企業 100社 
 

 デジタルサイネージジャパン 
 デジタルサイネージアワード

2) IPDC

マルチスクリーンによる日本型スマートテレビを開発するプロジェクト。
放送の電波に通信技術であるIPを乗せるサービスを開発するIP Data Casting(IPDC)。
通信・放送を融合する技術開発、サービスデザイン、ビジネスマネジメント、そして制度改革を進めています。

・企業コンソーシアムを通じ、技術開発、ビジネス開発等を推進。

・テレビ局と「マルチスクリーン型放送」の技術開発とビジネス実験を実施。

・これまで、「情報通信法(放送法等改正法)」の制定、
 「ユビキタス特区」の実現、「ホワイトスペース特区の制定」などを後押し、実現に貢献。

【参考】
 IPDCフォーラム 会員企業 40社


3) KMD ☓ OmO

吉本興業が展開する動画配信チャンネル「OmO」(オモ)と連携して、映像制作・配信を行うほか、人材育成、新ビジネス創出等に関する共同研究を行うものです。

・KMDの学生(留学生を含む)ないしそのグループがチャンネル内に個別チャンネルを設け、番組を制作・配信します。
・これらを通じ、映像を制作する人材の育成策の検討、ネットでの新ビジネスの開拓等について、共同で研究します。

「OmO」×「KMD」共同制作チャンネルは5つ。全部学生がやっとります。

例◯TokyoMarin
  東京まりん「ひとりでできぬもん!」

4) IT政策研究会

スタンフォード大学アジア太平洋研究センターAPARCとの共同でIT政策に関する研究を進めています。日米の政府・企業関係者とともに政策の整理をします。

5) その他
◯ネット炎上
ネット炎上対策を講ずるプロジェクト。社団法人ニューメディアリスク協会とともに、事例調査、啓発教育などの活動を進めています。

◯オープンデータ
オープンデータ対策を進めます。VLED(社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構)に協力し、普及啓発に努めています。

◯radiko
ラジオネット配信のradikoは当方の参加する産学プロジェクトとして試行・実験し、立ち上げましたが、商用移行に伴い、関わりが終了しました。
 


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2015年4月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。