ほ乳類と鳥類で別々に進化した「鼓膜」の獲得とは

田植えの時期になると、昔は掘り起こされた田からオケラが出てきたものです。最近はオケラを見たことない子もいるようですが、モグラそっくりの手をしていて不思議な虫だと思いました。ほ乳類であるモグラの手と昆虫のオケラの手が同じような形態になることを「収斂進化」と言います。モグラもオケラも地中で土を掘りつつ前進する。そのための機能として結果、同じような手に進化したわけです。


我々の感覚器官についても同様の進化が起きたのでは、という研究が4月22日に発表されました。これは、理化学研究所と東京大学大学院医学系研究科の共同研究で、ほ乳類と爬虫類・鳥類の「鼓膜」がそれぞれ独自に進化した、というもの。音を聞く、という機能は、ほ乳類でも爬虫類・鳥類でも同じで、鼓膜で音の振動を受け、中耳(ちゅうじ)にある耳小骨を経由して内耳(ないじ)から聴覚神経につながることで働きます。

この「中耳の耳小骨」について、ほ乳類は3個あり、爬虫類・鳥類では1個しかありません。理化学研究所の研究者らは、ほ乳類でなぜ耳小骨が多くなったのかを解明しようとしたそうです。すると、この耳小骨へ音を伝える鼓膜の進化の違いがわかった、というわけ。これが理化学研究所のプレスリリースです。

遺伝子を機能させなくしたり、発生中の胚に薬剤を投与したりして「上顎」の発生を抑えた結果、鼓膜の形成でほ乳類のマウスと鳥類のニワトリで違いが出た。なぜ上顎の発生をいじったのかと言えば、中耳の耳小骨は、顎の関節から進化したと考えられているからです。上顎ができず、下顎にも上顎の骨ができるようなマウスやニワトリを作り出した、というわけ。そして、マウスとニワトリの違いとは、上顎の発生を抑えると、マウスでは鼓膜がなくなり、ニワトリでは鼓膜が上下に重複してできたことでした。


左の上下がマウスとニワトリの本来の鼓膜の状態。それぞれ下顎の骨(青色)のところに上顎(緑色)が作られる。しかし今回の研究による右の上下の結果では、マウスとニワトリで鼓膜の形成が正反対になった。マウスでは鼓膜がなくなりニワトリでは鼓膜が上下に重複している。図:理化学研究所

このことから、ほ乳類と鳥類や爬虫類では、鼓膜の進化や獲得が別々に行われた、ということが示唆されます。ほ乳類では下顎の関節から進化し、鳥類・爬虫類では上顎から鼓膜を作り出したらしい。しかし、どちらも鼓膜という同じような機能を持つ感覚器官が同じような場所に獲得されたわけです。これも広い意味で一種の収斂進化と言えるでしょう。

PHYS.ORG
Look mom, no eardrums: Studying evolution beyond the fossil record


The Earth will spend $91.5B on video games this year
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世界のビデオゲーム市場について書いている記事です。2015年には米国の市場規模が26%、ついで中国が22%になって急追するようです。その総額は約900億ドル、10兆円にもなるらしい。これは、米国の多国籍企業が脱税するのと同じ金額です。

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関東以南ではすでにサクラは散ってしまいましたが、東北や北海道はまだこれから満開になるようです。以前、GW前半に函館へ行ったことがありますが、まだ蕾でした。北国の春は遅いと感じたわけですが、五稜郭近くの回転寿司がめちゃくちゃ美味しかったです。

新明和、ボーイング・サプライヤー・オブ・ザ・イヤー2014受賞 2年連続で
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世界中の1万3000社以上の中から選ばれたそうです。新明和といえば、戦前の川西航空機。二式大艇や紫電改などを開発したことで知られています。戦後は「皆で明るく和していく」から「明和興業」となり、日立の傘下へ入るときに「新」をつけ、興業を工業にしたらしい。名機YS-11や世界に誇る飛行艇US-1などを開発し、その技術力は高い。US-1は今、新型のUS-2になりインドへ売り込もうとしています。

新明和工業のHPより。

Mysterious Radio Bursts Are Indeed Coming From A Galaxy Far, Far Away
POPULAR SCIENCE
オーストラリアのニューサウスウェールズにある「パークス天文台の電波望遠鏡」が、2001年にごく短い周期ですが宇宙から強烈な電波を受信しました。これが宇宙からの電波について紹介したコーネル大学のリリース。最初は望遠鏡の故障とも思われましたが、よく調べてみると、これは天の河の向こう、30億光年の彼方から放たれた電波で、その強さは電子レンジ並みだったそうです。謎めいた電波に興味津々です。


アゴラ編集部:石田 雅彦