ブルームバーグに安倍首相の寄稿として「女性が輝けば、世界も輝く」が掲載されていました。内容的は特段目新しいものがあるわけではないのですが改めて女性の社会進出を強力にサポートする姿勢の表れと見ています。訪米していた首相がハーバードの学生に「(自民党総裁選で)自分のライバルは女性かも」というほど期待しているという事でしょう。
実を言うと私は女性がんばれ、よりも男性、もっとしっかりせよ、といいたいところであります。草食系男子と称したスタイルは衣服や文化のシェアからユニセックス化したことから始まったとみています。例えば多くのファッション業界は男がいつもドブネズミ色のスーツで休日は何年も着ているTシャツやポロシャツというスタイルからよりおしゃれに敏感にさせようと努力しました。そして多くの若者はそれに呼応したのです。痩身型のデザインのジャケットはお腹のでっぷりした人にはまず似合いません。そのためにフィットネス、あるいは健康器具が売れ、数十年前に比べて明らかにビール腹は減ってきました。ヘアスタイルも女性並みになり、スキンケアも当然となりました。
これは男性が人の目線をより重視するようになり、ビジュアルから訴える流れができたともいえます。それはそれで結構なのですが、それだけ様々なことに時間を割くようになったともいえ男性本来の力強さや粘り、努力感がよりあっさりしてきたように感じます。
一方、女性の逞しさは最近とみに増していると思います。ここバンクーバーでもNPOや様々な集まりでは女性が主流であります。もちろん日系社会の話です。また、女性の場合、横のつながりが綿密でとにかくよくコミュニケーションをしています。それが情報をより集めやすくしているともいえそうです。
カナダのような女性先進国にいると男女の仕事やそれぞれのポジションの違い、役割分担を非常にうまく機能させていると言えます。多少の偏見もあるかもしれませんが、銀行や保険業、会計士でクライアントとのコミュニケーションを重視するポジションは女性が主流となってきています。私のクライアントの某ホテルでも宴会担当のスタッフは8割が女性で顧客と綿密で細やかな打ち合わせをこなしています。
では男性は何処に行ったか、といえばもっとファウンデーションの仕事、例えば建設業であるとか、セキュリティであるとか、一般事業会社でも技術や開発、サポートといった業務についているケースが増えてきています。事実、顧客とやり取りする際、男性のモンギリ調より女性の柔らかい感じの方が圧倒的に受けは良く、同じ男性でも当地で顧客とのフロントラインに立っているのは割とソフトなイメージのゲイの人が多かったりもするのです。
そこで日本で女性が更にその能力を伸ばす方法は何処にあるか、でありますが、私は彼女たちに提案型営業を勧めます。女性はクライアントとの何気ない会話でフィルターにかけることなく、まっすぐにその意見に耳を傾ける傾向があります。(男性の傾向は自分の考えが既にあり、それと比較し、相反する意見は耳に栓が出来てしまいます。)クライアントから聞き出した様々なボイスを社内に持ち帰り、マーケティング戦略を作り出していけば機能すると思われ、既に多くの企業のマーケティングでその事例は紹介されています。
ところで、日経ビジネスの編集長が代わり、その第一声を楽しみにしていました。新編集長は「日本からヒット商品が生まれなくなったその理由はたくさんあるが最も欠けているのはチャレンジ精神だ」(意訳)とし、多くが安定志向に走っていないだろうか、と問題提起をしています。そうかもしれません。
ならば切り口を変えるしかないのです。そして私はそのリーダーは女性が最もふさわしいと確信しています。それは長年、北米で仕事をしながら男女の位置関係を見、また時代の流れと共にその特性がどう生かされてきたのか、肌身をもって感じているからであります。
男尊女卑、家父長制度、あるいは一部には儒教の流れも含め歴史的にはアジアは男女のバランス感覚が非常に悪かったと思います。お隣韓国の苦痛は正にそこに根源の一つを見出すことができます。日本がアジアの中で二歩も三歩も先を行くなら女性の時代をいかにうまく作り上げるか、そこにかかっていると思います。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 5月3日付より