不動産支給に有休増加、速度制限まで…スイスの国民投票制度

海外視察は二か国目、スイスに突入しております。
本日はチューリッヒに滞在です。


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チューリッヒっぽい写真ってのがいまいち撮れなかったのですが(苦笑)、辻辻に国旗が掲揚されているあたりに、強い愛国心が感じられますね。

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スイスの視察目的である「ランツゲマインデ(青空議会)」は明日でして、本日はスイス大使館の公使より事前ブリーフィングをじっくりと受けました。
今日のブログはその中から、スイスの直接民主政についてご紹介。

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(資料は私が以前にニコ生放送用に作成したもの)

あまり政治関係者以外には馴染みがないかもしれませんが、スイスは世界でもっとも「直接民主制」を積極的に統治制度に取り入れている国でして、その代表的な制度である国民投票の実施回数は、堂々の世界No1です。

この理由を簡単に説明することは難しいのですが、大国の狭間で生き残るために国民の強い結束が必要であったこと、スイスを構成する「州」の伝統に色濃く直接民主制が残っていたことなどが挙げられそうです。

国民投票には大きく二種類、「レファレンダム」と「イニシアチブ」があります。
「レファレンダム」とか、議会が決議した内容に対して、

「ええっ、そんなの我々は従えないよ!」

という住民が一定数(5万人)以上いた場合、その決議は国民投票に諮らなければいけないというものです。

仮に日本でいえば世論の反発が大きかった「秘密保護法」や、これから審議される「集団的自衛権」で国民投票が行われるイメージでしょうか。
実際、この「レファレンダム」が発動した場合、けっこうな割合で議会決定が覆るようです。

一方の「イニシアチブ」とは、その名の通り国民側が主導権を持って憲法改正や法案制定を議会に投げかけるもので、10万人以上の賛同では発議することができます。

スイスの人口は800万人程度なので、10万人というのはそれほど高いハードルではありません。
そのため、こんな「トンデモ国民投票」が行われてしまったりもします…。
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国民全員に6週間の有休を!とか、道路の速度制限を30kmに制限して安全な道路に!なんて、多くの人がバカバカしいと思われるかもしれませんが、国民投票やっちゃうんですね。。

もちろん、鉄道インフラ改善や公的保険制度の導入、徴兵制の賛否など文字通り国論を二分する国民投票も毎年多く行われています。

ここまで簡単に見ただけでもおわかりのように、こうした国民投票=直接民主制の導入には明白なメリット・デメリットがあります

メリットとしてはやはり、国民の政治参加・連帯意識の向上です。
厳密な徴兵制を導入して「永世中立国」として威厳を保ち、人口800万人程度の小国が脅威の教育・経済水準を保っているのは、これ支えられた国民意識と無関係ではないでしょう。

一方でデメリットとしてはやはり、政治決定におけるコスト増が挙げられます。
いちいちこれほどの回数の投票=選挙を行う人的・金銭的負担はかなりのものですし、議会の決定が頻繁に覆されるので、スピード感を持った意思決定がしづらくなります。

また、感情や雰囲気に流されやすい大衆の常として、国際社会の常識や人権保護に反した決定がなされてしまうリスクもあります。
つい最近(2014年2月)にも、

「移民の数を制限し、労働市場におけるスイス人を優遇するべし!」

という国民投票が行われ、移民排斥とも言える内容に多くの政治家が否決を予想したものの、なんと50.2%という僅差で「可決」されてしまい、今も政府は対応に頭を悩ませているようです。

繰り返しになりますが直接民主制は、間接民主主義の欠点を解決する魔法の杖ではありません。

しかしそれでも、いまスイスの制度や取り組みが世界的にも注目を集め、ドイツなどの周辺国からも政治家が頻繁に視察に訪れるようになったのは、低投票率を始めとした民主主義の現状に多くの国が危機感を抱いているからです。

明日はこのスイス直接民主制の象徴とも言える地で「青空議会」を目にし、また州議会関係者とも会談が行える予定ですが、我が国の現状を改善するためにヒントとなることを一つでも多く吸収してきたいと思います。

憲法記念日となる5月3日。
皆さまも少しだけ、政治と政治参加について考えて下さると幸いです。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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