言論の自由も、結社の自由も存在しない港区議会

どうも新田です。かの三島由紀夫は「たとえば暗殺が全然なかったら、政治家はどんなに不真面目になるか、殺される心配がなかったら、いくらでも嘘がつける」とおっしゃったそうですが、暗殺どころか選挙で落とされる心配もない東京・港区議会の古狸センセイたちにおかれましては、相変わらずのゴーイング・マイウェイで再び炎上の様相です。


■大阪の住民投票顔負けの“自民・共産”連合
選挙前に何度も書きましたように、昨年、議長(当時、自民党の井筒宣弘氏)がすべての議員に対し、メディアからの取材を受けた場合は議長に報告するように求める通達を出すという、税金でメシを食っているくせに公人の取材制限もはなだなしい前代未聞の、赤っ恥の醜態(本人たちはまったく疑問に思っていない!)が私の取材で発覚しました(港区議会のダメっぷりはリンク先の東洋経済オンラインでどうぞ)。

この間も、若手議員がメディアに出たらその内容を巡ってケチを付けたり、あるいは著書を出した議員がいれば、気に入らなかった古狸がその議員を呼びつけて密室で自主回収を要求したりとかやり放題。

それで、常々「国政のオール与党」などと他党をdisりまくる共産党くらいは一線を画しているのかと思いきや、ここの幹事長の風見ってオッサンは、私が取材しにきたことや内容が議長に筒抜け。いやはや、自民党と共産党が“結託”しているという、大阪の住民投票みたいな談合状態にあきれ返ったもんです。

■今度は新会派結成を巡ってゴタゴタ
それで何事もなかったように選挙戦が終わって、新会派を組むということになりましたら、また新たに事件が起こりましてね。

すでにツイッターで私が呟いてごく一部の地方行政マニアの間でだけ、話題になっているように、このほど民主、維新、社民、無所属の10人が新しい会派を結成する意向を会派の代表者会議で示したところ、突然風見のおっさんが「会派とは何ぞや」と辞書のコピーみたいなものを配って疑義を呈したと思いきや、そこに自民と公明も相乗りして「この会派結成はおかしい」とかdisりまくり始めて、議長・副議長、委員長ポストを決めるのに収拾がつかなくなっておるようです。

※新会派結成を非難する共産・風見氏と、反論する民主・清家あい氏(11日、港区議会代表者会議で)

要は、自民・公明・共産サイドは、「国政で異なる考え方のテメーラがちゃんとまとまれるのかよ」と主張して、今回の新会派のメンバーが過去の議会で防衛問題に関する意見者を採択した際に割れたことなんかを持ち出しているわけですが、結局本音というのは、これまで自民、公明が(時には共産とも阿吽の呼吸で歩調を合わせながら)区議会を牛耳ってきたところ、突然、民主、維新、社民、無所属の若手議員たちが、数の上で第2会派になろうとしてイヤだから難癖を付けているだけなんじゃねーの。

地方議会の慣例では大体、副議長は第2会派に割り当てられるわけですが、よほど頭に来たのか自民や公明、共産サイドは多数決で決めようという異例の展開になりつつあります。

まー、自民、公明、共産が建前でふりかざしている「野合論」は一見もっともなようだし、私も渋谷区長選では民主党・長妻昭の共産ドーピングを批判はしましたが、組むこと自体を法的に止めることはできないし、共産の風見のオッサンが「政策協定書を出せ!」とまで他会派に要求するというのは、何の権限があるんでしょうかね(コエーッ)。あんたらが安倍政権から守りたくてしょうがない憲法に「結社の自由」ていう五文字の兼ね合いを聴いてみたいですな。

「政党としての統一性」なんて言い出したら、自民だって他の地方議会では複数に会派が割れているところもあちこちにございますしね。私は11日の代表者会議しか覗けてませんが、13日は「人間性の問題」みたいなdisりまで飛び出した情報が耳に入っておりまして、こんな低次元の議論と陰謀とパワーゲームに税金と時間を浪費している低能スペック議会に、区民としてやりきれなくなりますわ。税金返せ、ばーか。その分、赤坂、六本木、西麻布で飲んで地元経済に貢献してやるよ。

なお、本件、三鷹市議の半田伸明氏もブログで他会派結成への批判は
大きなお世話」と言及しています。

■古狸たちを増長させた真の戦犯
ここにきて他のネットメディアも取材に来てまして、あす15日に行われる3回目の会議には、どうやら某全国紙もいよいよする参戦する動きを見せております。

残念ながら区議会レベルのようなところは、コテコテの紙の文化に染まり、インターネットを使わない階層が古株センセイたちの支持基盤である中世の世界ですから、アゴラやブロゴス、あるいは1億PV達成の東洋経済オンラインで私が糾弾してもどこ吹く風。これで新聞で騒ぎ、さらにテレビへと発展して炎上していただければ、井筒議長の取材制限に最初に抗議の特攻を試みて、悲憤慷慨の撃墜をされたNHK記者の魂も浮かばれるというものです。

新聞・テレビの空中爆撃に今度こそ期待したいと思います。明日は私は所用で取材に行きませんが、記者さんたちにおかれましては、ちゃんと字にするつもりであれば、クソ議員のウラ情報さしあげますし、ネタ元もご紹介してあげますよ(先着2名様まで)。

ただ、一方で申し訳ないんだけど、古狸のオッサンたちをここまで増長させた責任は、見て見ぬふりをした区政担当記者以外に、今回の新会派結成のメンバーも含めた野党系議員の皆さんにもあると思いますよ。振り返れば議長がクソ通達を出したときとか何度も戦うべき局面があったし、例えば私が東洋経済オンラインの記事を書いた時なんか、逆襲するタイミングだったんですが、私も心情的に応援する気も失せますわ。今回新会派に入る中前女史などはこんな風に私にかつて言い訳をしておりますが、「闘争心が足りないよ!」(ラモス風)。

なお、今回、ネット上で維新の支持層あたりからは「民主と談合する港区議会の維新議員はおかしい」という声も上がっていますが、それは早合点というもの。対立構図の真相は、古めかしい組織を支持基盤に持ち、さまざまなシガラミをお持ちのジイさんたちと、政治に新風を吹かせようと組織ゼロでも果敢に選挙を勝ち抜いてきた若手議員たちのガチンコという「シルバーデモクラシー社会」の軋轢です。大阪の住民投票の自共の呉越同舟ぶりを併せて見ていると、この問題の深刻さを感じます。

新会派は全てのポストを取られようが徹底的に戦って炎上して、「ダメな地方議会」の事例として港区議会が全国区の注目を浴び、8年後くらいに再建した事例として位置付けられるようこの4年間はポスト無しの冷や飯を食うことも辞さず、無党派の区民第一でがんばってください。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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