国際サッカー連盟(FIFA)が大揺れだが、日本政府が2009年に旭日大綬章まで贈ったヨーゼフ・“ゼップ”・ブラッター(Joseph “Sepp” Blatter)会長が再選を果たし、現体制(5選)が継続される。ブラッター会長は「罪があるのは個人であり、組織ではない」と言ったらしい。
しかし、FIFAの「金権体質」は長い。ブラッター氏を会長に押し上げた前任のジャン=マリー・フォスタン・ゴドフロワ・ド・アヴェランジェ(Jean-Marie Faustin Goedefroid de Havelange)氏から、FIFAの体質は大企業のスポンサードや莫大な放映権料が絡むコマーシャリズム一辺倒になった。アヴェランジェ体制も1974年から1998年まで続いたわけで、実に40年もFIFAは「金まみれ」なわけだ。
現会長の再選を高らかに伝えるFIFAのHP。
アヴェランジェ氏自身も金に関する疑惑がある。スイスに本社を置いていたスポーツマーケティング代理企業「インターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー(ISL)」との間で資金疑惑があり、同氏に対する不正調査が行われるはずだったが、会長辞任を交換条件のようにして追求を逃れた。ISLは2001年に経営破たんしている。
アヴェランジェ前会長の後任選挙は、FIFAの改革を求めるレンナート・ヨハンソン(Lennart Johansson)欧州サッカー連盟(UEFA)前会長が立候補し、アヴェランジェ体制を受け継ぐブラッター氏との一騎打ちになった。だが、FIFAは「金権体質」の継続を選ぶ。その後、ミシェル・プラティニ(Michel Platini)現UEFA会長などからもビッグクラブ偏重といった点でFIFA批判の声がやむことはないが、結局、自浄できずに現在に到る。
もちろん、アヴェランジェ=ブラッター体制には功罪もある。サッカーや各国際大会を経営が成立するビジネスに育て上げ、発展途上諸国におけるサッカーに資金を提供し、後進の育成にも大きな影響力を発揮してきたことも事実だ。Jリーグに代表される日本のサッカーも、FIFAと同じベクトルに乗って成功してきた。
観戦する側にしても、ビジネスとして成立しているからこそ、国際的に活躍するスター選手たちの刺激的なプレーを堪能できる。一方、FIFAのお先棒を担いできたからか、世界的にこの件についてメディアの口は重い。米国の司法がメスをふるったのも示唆的だ。FIFAが腐敗することで、いったい誰が「損をしている」のか、今一度よく考えたほうがいいかもしれない。
The Telegraph
England threaten to boycott World Cup as Blatter is re-elected
Zebrafish model gives new insight on autism spectrum disorder
Science Daily
観賞魚の一種でもあるゼブラフィッシュは、遺伝子解析のモデル生物として活用されているが、米国マイアミ大学の研究を紹介しているこの記事では、ゼブラフィッシュの遺伝子の分析からヒトの自閉症に関する遺伝的変異のヒントを解明することができるかもしれない、と書いている。この遺伝子は「Shank1」と「Shank3」。Shank3の変異については、自閉症や知的障害、統合失調症などの神経性疾患との関与が疑われている。これとは別の研究では、第22染色体上のShank3発現に関するメカニズムがマウスで解明されたそうだ。マイアミ大学の研究では、これらの遺伝子をノックダウンさせたゼブラフィッシュモデルを作成し、刺激下での逃走行動をワイルドタイプと比較した。すると、ノックダウンモデルはおかしな挙動の泳ぎ方をしたようだ。
India business sentiment falls back to pre-Modi level
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
インドの経済成長率が鈍化し、モディ政権以前のレベルまで戻ってしまった、という記事だ。構造改革や経済政策がなかなか進展せず、市場には焦燥感が漂い、モディ政権への批判も出始めている。インドルピーは、2013年後半の米国の金融緩和縮小を受けて下落(金融政策変更前54ルピー対米ドル)したが、現状でも63ルピー前後と、その後もそれほど持ち直してはいない。ルピー安のために輸入商材の値段が下がらず、これがインド経済の加速を妨げているらしい。どこかの国と同じような話ではある。
85,000 endangered antelopes died this month and nobody knows why
inhabitat
サイガ(Saiga tatarica)は、かつてはユーラシア大陸に広く棲息していたウシ科の偶蹄類だが、食用や毛皮目的、さらに漢方薬の材料として乱獲され、今ではモンゴルやカザフスタンなどに十数万頭が残るのみになった生物だ。この記事では、この絶滅に瀕したサイガが5月に大量死しているのが発見された、と書いている。原因はまだ不明だが、細菌感染による、と考えられているようだ。密猟などでは数万頭の単位で死ぬことはない。ロシアにせよカザフスタンにせよ、一応、この生物を保護はしている。
寒冷な空気を暖めるために発達したと考えられるふくらんだ鼻腔が特徴のサイガ。Credit:Seilov
Cheetah robot lands the running jump (w/ Video)
PHYS.ORG
ここまで「進化」したのか、と驚きのある動画だ。これでコーナーを周回できたり急に方向転換や停止したりできるようになれば、これはひょっとすると「生物」の一種になるかもしれない。すでに、斜面を昇降したり重い荷物を持って人間を追随したりできる。ちょっと脅威な感じさえする動きだ。
アゴラ編集部:石田 雅彦