先日、私のブログでも説明をさせていただいた新国立競技場の建設費を巡る政府(下村文科大臣)VS東京都(舛添知事)バトルは、
【舛添都知事日記】新国立競技場問題の経緯と惨状—透明性と公平性を確保して国民的合意を!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43553
下村大臣が「当事者意識がない」と記者会見で攻撃すれば、舛添知事は「あまりにもデタラメ」と自身の連載コラムで反撃するなど、泥沼の様相を呈しております。。
舛添知事側に理ありとする私の立場に変わりはありませんが、昨日の都庁サイドからのレクチャーの中で、当会派の両角幹事長がとある事実を指摘されていて、「おや?これは…」と思うことがありました。
確かに政府から公式な形(文書等)では東京都に対していくらであれ建設費の負担を要請した記録は残っておりません。
しかし2013年12月21日の「オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会」において、事務方トップである秋山副知事がこのように答弁をしていたのです。(議会答弁はものすごく重たい意味を持つものです、念のため)
〇秋山副知事
新国立競技場全体工事費につきまして、新競技場本体工事千四百八十億円、周辺整備三百七十二億円ということで、負担につきましては、周辺整備費を中心に負担を求めてきたと、負担の要求があったというふうに理解しております。
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/olympic_propulsion/002.html
猪瀬知事が退任する直前のまさにゴタゴタしていた時期ではありますが、政府側、きちんと事務方トップレベルで、東京都に負担要請してるではありませんか!しかも、詳細な金額付で。
ちなみにこの372億円という数字は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが作成した「新国立競技場基本設計条件(案)」で示されている数字であると思われます。
確かに500億円という数字からは乖離はありますし、事務方は聞いていたとしても舛添知事にとっては「初耳」だったのかもしれませんが、政府と東京都は少なくとも事務方レベルでは数百億円単位の交渉をしていたわけです。
これに対して、舛添知事が政府側に提示しているのは50億円。
上記の計画案(画像)の中の「都営線との接続(11億円)」「立体公園(39億円)」の費用を足しあげたものと思われますが、これでは政府サイドの事務方としても
「おいおい、ずいぶん前からこちらが提示している金額と比べて、あまりにも不誠実な数字なんじゃないか…?」
と思われても仕方がありません。
ひょっとしたら今回の混乱を招いている件は、一言でいえば双方の事務方がトップへの情報共有を怠り、場の設定を先延ばしにしたことに一因があるのではないでしょうか。
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ここまでの流れに不備が満載だったことは舛添知事がコラムの中で指摘している通りかとは思いますが、いずれにせよどこかで「落としどころ」を見つけなければいけません。
当時と比べてどのように計画が変更し、完成する予定なのか。
費用はどのように変わり、どうして372億円が580億円になったのか。
「知事になってから初めて聞いた、失礼で支離滅裂だ!」
「以前から伝えていたのに、東京都は開催地としての当事者意識が低すぎる!」
とお互い罵り合うのはここまでにしておきまして、過去に双方の事務責任者レベルで行われていた記録と流れを踏襲しながら、しかるべき着地点を模索されることを望むものです。
引き続き、新しい情報が入りましたらお知らせいたします。
それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
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