本日は東京都住宅政策審議会でした。
公営住宅(都営住宅)の供給によって生じている歪みを指摘し、将来的な「住宅バウチャー」なども提案した前回の模様はコチラ。
都営住宅の偏在が、地域間の格差を助長する?!住まいと入居者を巡る悩ましい問題
http://otokitashun.com/blog/daily/6209/
前回から半年近くが経ってしまいましたが、本日の議題は東京都内の「マンション」について。
「『マンション』なんかに、何か政策的な課題があるの??」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
現在東京都にあるマンション総戸数は168万戸で、東京都総世帯のおよそ4分の1に相当します。
このうち、旧耐震基準のままになっているのが約36万戸。
また築40年以上が経っている老朽化マンションは現在は12.6万戸程度ですが、10年後には42.8万戸と3倍以上に急増します。
そして高経年・老朽化マンションには容積率に余裕がないものが多く、概ね築40年以上のマンションの約4割が容積率基準に不適合と推測されています。
つまり、
「バブル前後までに立てられたマンションが老朽化にさしかかり、本来自主的に改築や立て直しが行われねばならないのだけど、お金がなくて多くが頓挫。マンション住民はもちろん、周辺地域住民も倒壊などのリスクに晒される可能性がある」
という状態になっているわけです。
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都民の安全を守るのは行政や政治の義務ですが、一方で基本的に民営のマンションは私有財産で、行政がどうこうする権限はありません。
加えて、きちんとした管理組合が機能しているマンションは少しずつ改築費などを積み立て、計画的に改築や修繕を行い、時代や環境に合わせた耐震基準などを維持してやりくりしているわけです。
「危険だから」
「耐震基準を満たしていないから」
という理由で一部のマンションに補助金を出して改築・改修を行うことになれば、
「真面目にやってきた人が馬鹿をみる」
ということにもなりかねないわけですね。
安心・安全か。
公正・中立か。
これもまた時に衝突する、非常に悩ましい政治課題の一つと言えましょう。
まさに上記の点を中心の一つとして専門家たちによる様々な議論が行われまして、結論としてはやはり、公正中立の理想はあっても、現実的には行政が介入せざる得ないと。
ただし、「真面目にやってきたマンション経営者が馬鹿を見ない」ように、きちんとしている物件には市場において相応のインセンティブが与えられる政策も同時に検討する、と(行政による優良物件の認定・表彰など)。
私は基本的には自主自律を重んじる自由主義者ではありますが、なんでもかんでも自己責任で片付けるわけにはいかないのが現実でして、今回の方向性はある程度やむを得ないものなのかな…と思います。
提言書(案)も安全・安心を理由になんでもかんでもお金を出すわけではなく、前提として公正・中立への抵触や私有財産に対する行政介入には慎重であるべきとのスタンスが貫かれていて、高く評価できるものになっていたと感じました。
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現時点で行政が私有財産であるマンションの管理運営に口を出せる法的根拠が存在しないため、今後は豊島区でも制定されたような「マンション条例」の制定を検討していく運びになりそうです。
都民の安心・安全を守るために、必要かつ最小限のオペレーションとなるよう今後も議論の行方を見守り、しかるべき政策提言をしていきたいと思います。
しかし産業政策から福祉、住宅政策まで毎日いろんな議論があるので、頭を切り替えるのが大変です…専門家にキャッチアップできるよう、日々勉強!
それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
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