予算の「節約意識」が働かない構造的欠陥とは

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
案の定遅れてやってきた、シンガポール自転車一周旅行の筋肉痛に悩まされています。。


概算要求 過去最大の102兆円
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6172718

さて、この季節になると毎年飛び交うこちらのニュース。
来年度の日本の国家予算も安定して「過去最大」となり、借金=国債発行を続ける模様です。

本来、国や自治体が借金=国債を発行して良いのは将来世代にも受益が及ぶ「建設国債」だけであり、目先の社会保障などに費やされる赤字国債を発行することはできないにも関わらず、先送り体質が変わる気配はありません。.

国債などの政府・自治体の借金の仕組みについては、過去ログもご参照ください(マニアックだけど)。

「将来世代だけがトクをしないために、黒字だけど借金しておきます!(キリッ)」は正しいのか?
http://otokitashun.com/blog/togikai/6845/

財政黒字の東京都と違い、国は正真正銘の赤字でモリモリ借金を重ねている状態でして、この状態を是正するためには当然ですが、「節約」して支出を抑えるしかありません。
人口減少が確実な我が国では、経済成長して収入を増やす方法には限界があります。

そのためには国の機能を少しずつ縮小していき、社会保障も余分な分を削って、いわゆる『小さな政府』の路線を目指す必要があります。

諸外国ではこうした路線を目指す政治勢力・政党に一定のプレゼンス(存在感)があり、時おり政権なども担うことで財政支出が見直され、抑制されてきました。

ところが我が国では小さな政府路線は人気がなく、理解されることもほとんどありません。
常に日本の政界では「大きな政府VS大きな政府」で政策論争が行われ、小さな政府を主張する政治勢力はことごとく消滅してきました。

これは一体、なぜなんでしょうか?

それはこの「国債発行」というマジックによって、われわれ国民の「節約意識」が著しく阻害されているからです。

もし国債発行が法律上のルール通り規制され、予算が足りない分は増税によってまかわなければならないとします。
そうなると、例えば

「医療費・年金の財源が足りないので、来年から消費税は12%に上がります!」

という事態が普通に発生します。
足りない予算はその分、自分たちの「負担」になって返ってくる…。
これが痛感できれば、

「年金や医療費のために、増税を甘んじて受けるか」
「いや、負担を増やさないために、年金・医療費を削減しよう」

という二者択一の議論が健全に行われることが予想されます。

ところが「国債発行」は、短期的には誰の痛みにもなりません
自分の懐が傷まないのであれば、節約する意識を持てというのはなかなか難しいでしょう。

それどころかむしろ、目先の社会保障を削ることこそが「純粋な痛み」になるわけですから、「小さな政府」なんて言い出す政治勢力は自分たちの敵になることこそあれ、支持する対象にはならないわけですね。

んで勿論、その「痛み」は今の若者たちどころか、まだ生まれてもいない子どもたちの元に熨斗をつけて送られるのですが…

「国債は投資にも使っているので、むしろ将来世代への『贈り物』だ」
「日本国民・国内金融機関で国債が消化されいるから、日本が破綻することはない」

そんなことをうそぶく政治家たちが跋扈する政界でありますけど、いい加減にこのようなツケの先送りには決着の道筋をつける必要があります。

建設国債ではない赤字国債は、単なる将来世代の「財布の先食い」ですし、後者の理論は以前にも書いた通り、

「日本国民や金融機関が、絶対に日本国債を手放さない」

というファンタジー染みた信頼関係に基づいたものであって、この状態がいつまでも続く保証はもはやどこにもありません。

確かに短期的に政策的投資や社会保障費を削っても、我々の負担が軽くなったりするなどの「節約によるお得」があるわけではありません。

しかしながら、今の先食い状態こそが異常事態であることを認識し、将来世代への負担を減らすために節約=小さな政府路線を目指すこと。

少数派ではありますが、こうしたことをしっかりと主張し続ける政治家でありたいと思います。

というわけで、重複する部分もありますが、定期的に日本の財政・国債のお話もしておきました。

8月も最終日。9月も頑張りましょう!
それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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