ドローンで化石を発見する

昨日夜のテレビで日本人の「恐竜化石ハンター」を紹介していた。北大の准教授でもある小林快次氏だが、出身は化石がたくさん出る福井県ということで納得した。福井市へ行くと駅前からすでに「恐竜王国」であり、日本の「実践的」な恐竜研究の嚆矢とされる東洋一氏が館長を務める福井県立恐竜博物館があることでも有名だ。

化石を発見するのには独特の「嗅覚」とセンス、才能が必要だと言われる。ある特定の研究者だけが陸続と大発見をすることもよくある。小林氏の前には、米国シカゴ大学のポール・セレノ氏が新種の恐竜化石を次々に発見した。セレノ氏は、それまで注目されてこなかった南米やアフリカへ目を向けたことが成功につながったようだ。

従来、研究対象になっていなかった対象をテーマにする、というのは科学研究の基本の一つでもある。冒頭の番組でも小林氏は、アラスカで足跡化石を発見しようとしていた。現在のユーラシア大陸と北米大陸はベーリング海峡で隔てられているが、数千万年前、白亜紀後期あたりの両大陸は陸続きだった。

この「地峡」を東西に恐竜が「渡り」をしていた、というのは、番組にも出ていたカナダ・アルバータ州にあるロイヤル・ティレル恐竜博物館のフィリップ・カリー氏が提唱していた説だ。そこに小林氏が目を付け、恐竜絶滅とつなげたわけで、なかなかの慧眼と言える。

表題の記事は恐竜の化石ではないが、アフリカの人類の祖先化石などを一種のグリッド的な「目」で発見しよう、という試みについて紹介している。化石、というように石になった骨であり、土中に混じっているとパターンを見分けることは至難だ。

ドローンなどで空中から俯瞰写真を撮影し、そのデータを世界中の登録ユーザーでネット共有して化石を発見する。小林氏は「鷹の目」を持っていると言われているが、一人の目より二人、十人、百人、という発想で、今後は考古学に限らず、ほかの研究分野でもこうした試みが増えていくのかもしれない。

BBC NEWS
Online fossil hunters to help comb Kenyan desert


30年前の日本人は、永田町が駄目でも霞が関があると思っていたが、武藤氏には手ひどく裏切られた
銀座のうぐいすから
1998年に当時の大蔵省(現・財務省)で汚職事件が起きた。いわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件だが、霞ヶ関の「高級」官僚の一部がいかに下劣低俗か10数年前には自明だったわけだ。ノーパンの女性をのぞき見ながら、しゃぶしゃぶを食う、という行為は常軌を逸している。たとえて言えば、食事と生殖行為を一緒くたにする、女体盛りのような異常性がある。この事件が起きた当時、大蔵省官房長だったのが武藤敏郎氏だ。省内のガバナンスの長として責任を問われるが、ライバルたちが同汚職事件で失脚したために復活。大蔵事務次官から初代財務事務次官を経て日銀の副総裁となった。その後、総裁にはなれずに退任。2014年1月から東京オリパラ組織委員会の事務総長になり、先日のエンブレム取り下げ会見では、その木で鼻をくくったような発言で国民の顰蹙を買ったわけである。

Apple Reportedly Staffs Up Machine Learning Team
TechCrunch
ムーアの法則で計算機の能力が格段に向上し、膨大なデータ処理や高度に連携されたネットワークによる相乗作用で、シリコンの「脳」は瞬く間に人間に近づいている。ちょっと前まではほとんど実用に耐えなかった人工知能も、こうした技術革新を背景にして人間に追いつき追い越すようになっているようだ。Googleはクルマの自動運転技術に注力しているようだが、この記事によるとAppleも人工知能の研究者や技術者を集めているらしい。とは言っても、iOSのSiriもかなりトンマで単調な受け答えしかできない。最近、話題になったMicrosoftのLINE用の人工知能「りんな」にしても同じようなものだ。使う側はあくまで人間なので、使う相手を選んだり使い方が制限されるようでは、やはり人工知能はまだまだと思わざるを得ない。

Why You Hate Google’s New Logo
THE NEW YORKER
オリンピックのロゴ、エンブレムのデザイン問題がかまびすしいが、この記事ではGoogleの新しいロゴについてその評判を紹介している。新ロゴは今週発表されたが、かなり不評のようだ。確かに当方のようにデザインの「素人」で「一般国民下級市民」の目で見ると平凡だし垢抜けないし魅力的ではない。デザインの「玄人」や「上級市民」が見るとどうなのだろう。画期的で斬新で魅力的なのだろうか。ステンシル書体の視点や「井」と「♯」の違いで見たらどうだろう。長々と講釈をたれるより、「下級市民」でも、ぱっと見でいいか悪いかよくわかるのがこうしたロゴタイプだしエンブレムだ。オリンピックのエンブレムをデザインした本人も伝わらなければデザインではない、と言っているらしい。

Japan’s Q2 contraction wasn’t quite as bad as they initially thought
BUSINESS INSIDER
日本経済(GDP)は、ここんところ伸び悩んでいる。生産人口減なので当然なんだが、国内消費はずっと停滞したままだ。内閣府は9月8日に4月から6月のGDP速報値を発表したが、大方の予想よりはちょっとだけ良かった。上方修正とは言っても、前期比がマイナス0.3%と1次速報値より0.1%だけ改善し、年率換算は1次速報値より0.4%改善している、というだけだ。これは国内需要がマイナスにならずに同じ推移だったということにつきる。内需を持ち上げないと経済は上向かない。内需を上げるには賃金を上げ、設備投資額を上げるのが効果的だが、企業は依然として内部留保をため込むばかりでそっちのほうに金を使わないようだ。


アゴラ編集部:石田 雅彦