彼女が厚労相になったら、意外におもしろいかもしれません。生活保護なんかバッサリ切るかもしれない。 https://t.co/PB8GmA6NLz
— 池田信夫 (@ikedanob) 2015, 9月 27
このツイートにしつこくからんでくるアカウントはすべてブロックしたが、玉井さんにも迷惑がかかっているようなので、説明しておこう。「生活保護なんかバッサリ切るかもしれない」というのは、入閣が噂されている稲田朋美氏がかねてから社会保障についてタカ派的なコメントをしているから書いたもので、いくつかの方法がある。
- 生活保護の支給基準をきびしくする
- 支給総額に枠をはめる
- 生活保護以外の方法で所得再分配する
1は大阪で橋下徹市長がやっているように、今までいい加減にやっていた審査をきびしくすることだ。2は国の一般会計だけで3兆円近い生活保護費に上限を設定すること。図のように社会保障関係費は一般会計の32.7%を占め、これが財政赤字の最大の原因だ。
3は生活保護を廃止し、ベーシック・インカム(負の所得税)のような非裁量的な所得再分配に切り替えることだ。これは消費税の引き上げとセットで検討されている給付つき税額控除と同じで、マイナンバーで所得が捕捉できれば負の所得税のほうがインセンティブを阻害せず望ましい。
生活保護より問題なのは、社会保障関係費の74%を占める年金・医療・介護だ。これは特別会計で保険料を取っているのに、その赤字補填を一般会計から23兆円も支出している。まずこれを廃止し、特別会計を完全な独立採算にする必要がある。
社会保障会計は110兆円にものぼり、特別会計の赤字が一般会計を浸食しているにもかかわらず、厚労省の「統帥権の独立」で財務省がカットできない。これが戦前の軍事費と同じく財政を破綻させる原因だが、与野党ともさわらない。高齢者の巨大な既得権がからんでいるからだ。
日本の最大の問題は安保や自衛隊ではなく、この社会保障の巨額の赤字だ。今のまま穴埋めを続けると、消費税は最終的には30%まで上げなければならない。それを防ぐには、なるべく早く今の社会保障制度をバッサリ切り、負の所得税のような形で一般会計に繰り入れてコントロールする必要がある。