友人間で「なぜ中国人は創造力に欠けるのか」が話題になることがしばしばある。近代中国人が学問上(自然科学人文科学を問わず)なしとげた重要な貢献を列挙するには困難を覚える。なぜそうであるのか?私の仮説は、以下の通り。
いわゆる解放後の三反五反運動、反右派闘争、文化大革命で優れた知識人が多数殺された。
共産党独裁体制の下自由な発想は圧殺される。
ところがビジネス取分け不法なビジネスにおける中国人の独創には感心(?)させられることが多い。ここでは二つ例を挙げることにする。
骨壷ビジネス
これは「中国がひた隠す毛沢東の真実(草思社)の中にある。
中国では、革命成功後おびただしい人々が迫害され、辺境の地に労働改造の名目で追放されその地で死んだ。最初対象は国民党幹部や旧資本家であり、後には反右派闘争や文化大革命中弾圧された共産党の幹部が多かった。
肉親の消息を知りたい、もし死亡していればせめて遺骨でも収集したいという親族の切なる思いに付け込んだビジネスのこと。
そうした労働改造所のあった土地の一つに青海省徳令哈というところがある。著者に遠縁の人から「徳令哈労働改造農場から、これまでの保管料として7000元を払えば、『反革命分子』としてそこで死んだ父親の骨壷を引渡しますという手紙が届いた。この話の真偽を確かめてほしい」という依頼。著者がその方面にくわしい友人に相談したところ、次のように言われた。「1960、1961年の大飢饉のころ、人口300万人の青海省でおよそ3分の1の100万人が餓死した。荒野に大型の労働改造農場があったが、ここでも多くの人が死んだので、大きな穴を掘り、数百という遺体をまとめて放り込んで埋めたので、一人一人の骨壷などあるはずがない」。
その後更に詳しいことが判明した。
現在、各省、市、自治区の司法庁労働改造局とそこに所属する監獄では副業が大流行で、その一つがこの骨壷ビジネスである。
死亡者のデータから、親族を探し出して片っ端から手紙を送り付け、有料で骨壷を引き取らせ収入源にしている。造作もないことである、そこらから適当に骨灰をかき集め(いくらでもある)、骨壷に詰めて、それに氏名と生没年のラベルを張るだけのことである。代金は香港や台湾にいる者は一人1万元、本土にいるものは(かならずしも金をもっていないので)交渉で4千元~7千元。P252~254
商標ビジネス
以下は私のブログ2008年4月27日分から
以下産経オンラインニュース 2008.4.27 19:42 から引用
日本の地名や人名が商標出願されているかどうかは、中国商標局のホームページで調べることができる。中国で日本の地名の商標登録出願が相次いでおり、国内各地の自治体が神経をとがらせている。現在、確認されているだけでも「青森」「佐賀」「京都」「鹿児島」などがある。青森県の場合、商標「青森(チンセン)」をようやく取り下げさせることに成功したものの、今度は見た目がそっくりの「青●(=森の木が全て水)(チンミャオ)」が出願され、新たな対応に大わらわだ。リンゴの輸出振興のため、青森ブランドを守ろうと奮闘する同県の“攻め”と“守り”の手法が全国の注目を集めている。(米沢文)
東京の特許法律事務所から「またヘンな商標出願があった」と連絡を受けたのは3月11日だった。届いたファクスを手にした青森県総合販売戦略課の職員は思わず目を覆った。青森の「森」にみえた字は「木」が3つではなく、「水」が3つ…。 「青森」の県名が中国で商標出願されていることが分かって約5年。やっと全面解決の兆しが見えてきた時期だった。「青●(=森の木が全て水)」の出願者は新疆ウイグル自治区の果物取扱業者だった。青森産リンゴが、北京や香港で贈答用として人気が出てきたことが出願の背景にあるとみられ、これが認められると、「中国産リンゴが青森産と誤解されて買われる可能性がある」(地元の弁理士)と判断、再び危機感が高まった。県は14日、中国当局に異議申し立てを行い、再び戦いが始まった。
中国の商標法は「公衆に知られた地理的名称は商標としてはならない」としている。しかし、青森以外にも「佐賀」「京都」「鹿児島」など、日本の都道府県名が中国で商標出願されるケースが続出。鹿児島県も今年3月、青森県同様、中国商標局に対し、異議申し立てを行った。その他の県でも中国での状況把握に努める一方、青森や鹿児島の対応を注視している。 以上転載
以前は有名ブランドと紛らわしいブランドやマークで商品を売るのがはやっていたが(たとえば東芝TOSHIBAのTをとってOSHIBA、コカコーラならぬコラコーラColaCola、ホンダとよく似たマークの車は今もある)、最近ではもっとスマート(?)になって将来中国進出が予想される企業名或いは商品名を先回りして登録しその企業が実際に進出する際それを高く売りつけるのが一種のビジネスとなっている。
このニュースの場合は売りつけるのでなく、取り下げることの対価が狙いだろう。これは何も日本の企業や自治体だけを標的としているわけではない。
中国進出を考えている企業は早めに商標登録をした方がいいかもしれない。日本では「国家の品格」なる題名の本がベストセラーになったそうだが、誰か中国版「国家の品格」なる本を書いてほしい。
追記
以前ある国際会議で中国は知的財産権を尊重すべきだと吊るしあげられた呉儀副首相が、世界の四大発明(紙、火薬、羅針盤、活版印刷)はすべて中国のものだが我々は一切対価をもらっていないと開き直ったのを思い出した。
青木亮