米11月消費者信頼感指数は90.4と、市場予想の99.5を下回った。前月の99.1(97.6から上方修正)から大きく減速。2ヵ月連続で低下をたどり、2014年9月以来の水準へ落ち込んでいる。3ヵ月平均は97.4と前月の101.0を下回り、7月以来の水準へ鈍化した。内訳をみると現況指数が108.1と前月の114.6を下回り、5ヵ月ぶりの低水準。見通し指数に至っては78.6と前月の88.7から急落した。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、今回の結果に対し「労働市場での楽観度の後退が主因」と指摘。2016年にかけ「消費者はビジネス環境でほぼ変化はみられなかったものの、労働市場に対し慎重な見方へ傾いた」とまとめた。
消費者信頼感指数、個人消費支出や週当たり賃金に合わせ鈍化。
(出所:BloombergよりMy Big Apple NY作成)
今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは、マイナス6.3。10月のマイナス1.9から下げ幅を広げ、2008年1月以来のブレークイーブン超えを果たした8月の0.4が遠のいた。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が低下
「良い」24.4%→前月の26.8%から低下、前年同月は24.8%
「悪い」16.9%→前月の18.3%から低下、前年同月は21.8%
労働市場については、「豊富」が低下、「困難」が上昇しDIは3ヵ月連続でマイナス圏
「職が豊富」19.9%→前月の22.7%から低下、前年同月は16.2%
「職探しが困難」26.2%→前月の24.6%から上昇、前年同月は28.7%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が低下、「悪化する」は上昇
「良くなる」14.8%→前月の18.1%から低下、前年同月は18.3%
「悪化する」11.4%→前月の10.4%から上昇、前年同月は10.4%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が低下し、「減少」が上昇し「減少」が3ヵ月連続で「増加」を上回る
「雇用が増加する」11.6%→前月の14.4%から低下し、前年同月は15.5%
「雇用が減少する」18.7%→前月の16.6%から上昇、前年同月は16.1%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し、「減少」が上昇
「増加する」17.2%→前月の18.1%から低下、前年同月は16.9%
「減少する」11.8%→前月の10.5%から上昇、前年同月は11.0%
購入見通しは、上昇が優勢。自動車が12.4%と前月9.8%を超えたほか、主要機器も51.5%と3ヵ月ぶり高水準だった。住宅のみ5.6%と足元で最高だった前月の6.2%から低下している。
▽米11月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値、見通しを中心に下方修正
米11月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は91.3となり、市場予想並びに速報値の93.1を下回った。内訳をみると、現況指数が104.3と、速報値の104.8から下方修正。見通し指数も82.9と、速報値の85.6に届かなかった。
原油先物が安値で推移するなか、インフレ見通しは1年先につき2.7%と速報値の2.5%から上昇した。5-10年先も2.6%となり、2002年9月以来の低水準だった速報値の2.5%から上方修正された。
ミシガン大学のエコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の低下の原因としてパリ同時多発テロ事件のを挙げず、むしろ1年先と長期的な経済見通しは上昇していた。その上で「センチメントが低下したとはいえ、6ヵ月平均の91.6をわずかに下回る程度で、(金融危機直前の)2007年初めより強い」と指摘。ただ「消費の半分以上を占める所得上位3位の層が家計に慎重な姿勢を示した」ため、全体に影響が及んだとしており、2016年の個人消費見通しを「2.8%増」と従来の2.9%増から下方修正した。
——パリ同時多発テロ事件の影響は特に指摘されていませんが、消費者が抱く労働市場の減速への懸念が浮かび上がってきました。雇用への不安は、ホリデー商戦の結果に現れそうです。
(カバー写真:elysiumcore/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年11月28日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。