今年の良書ベスト10と復刊ベスト5

暴力の人類史 上

今年は戦後70年ということで歴史物が多かったが、新事実の発掘はあまりなく、4がルーズベルトの陰謀説を証拠にもとづいて否定したことと、8が毛沢東が日本軍に情報提供していた事実を明らかにしたことぐらいだろう。

イスラムの脅威や暴力のあり方が見直される年でもあった。1はこの分野のまとめだが、3や6や『イスラーム 生と死と聖戦』を読んで、彼らの思想を知っておく必要はあろう。それは『服従』が描くように、ヨーロッパの「イスラム化」をもたらして世界秩序を変える可能性もある。

このように荒れる世界をよそに、国会では平和ボケの憲法論争が繰り返されたが、井上達夫氏も指摘するように憲法9条の削除を考えるべきだ。憲法より重要なのは、『歴史認識とは何か』にまとめられたような国際関係の現実である。来年は、2のようなリアリズムが必要とされる年になろう。

  1. 暴力の人類史
  2. World Order
  3. イスラーム国の衝撃
  4. 歴史とプロパガンダ
  5. 大東亜戦争 敗北の本質
  6. Fields of Blood
  7. 地球温暖化とのつきあい方
  8. 毛沢東
  9. Social Dynamics
  10. 沖縄の不都合な真実

今年は復刊に、いいものが多かった。1や2は、今年の新刊より読む価値がある。3は、イスラムのテロがフランスに集中する背景に、フランス革命以来のライシテ(政教分離)の問題があることを示している。

  1. 大政翼賛会への道
  2. 日英同盟
  3. 十字架と三色旗
  4. 大東亜戦争肯定論
  5. 超国家主義の論理と心理