「投資のどっち本」を出すのは、良い?悪い?どっち? --- 内藤 忍

アゴラ
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今年は「初めての人のための資産運用ガイド」が単独書として初めての10万部となり、2005年から30冊以上書いてきた書籍の中で最大のヒットとなりました。そんな良い流れが続くように来年に向けて新しい書籍の企画がいくつか進んでいるのですが、その1つのタイトルに悩んでいます。

最終案ではありませんが、編集者の方が提案してきたのが、いわゆる「どっち本」です(写真)。これは、明らかに2015年のベストセラーにも入っている「お金が貯まるのは、どっち!?」の二匹目のどじょうを狙った本です。このような二番煎じは出版業界では当たり前のようで、お金の本だけではなく、健康や節約術など、私が書くまでもなく、あらゆる分野でたくさんの「どっち本」が出版されています。

投資のどっち本を出すのは、著者としては正直気が進みませんが、送られてきたゲラは、すでに完全などっち本となっていました(笑)。

これから原稿の修正や図表の作成と合わせて、タイトルの決定という最も重大な作業を進めていかなければなりません。刊行は2月末くらいの予定ですから、それほど時間に余裕がある訳ではなく、少し焦っています。

資産運用で2つの投資のどちらを選ぶかは、リスクとリターンの関係が正常であれば、その人のリスク許容度によって決めていくのがセオリーです。リターンの高いものはハイリスク、リターンの低いものはローリスクですから、自分が取ることのできる最大のリスクを考えて、その中で期待できるリターンが最大になる投資対象を選択するべきなのです。

どちらが正しいということではなく、その人にとって一番ふさわしい投資対象とその組み合わせがあるということです。

投資には確実ということがありません。リスク(=不確実性)を取ることによって、その見返りにリターンを得るのが投資なのです。だからリスクを取ることを否定する人にはリターンを得る資格は無いということです。

このように投資の本質を考えれば考えるほど、「どっち?」と二者択一で結論を出すことに無理があるのを実感するのですが、果たしてこちらの提案は受け入れられるのでしょうか。

金融資産から不動産まで幅広い投資に関してのQ&A形式の書籍になることは確定ですが、タイトルがとても重要になると思っています。ヒントを頂ける方がいれば、参考にさせていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年12月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。