JKビジネスの片一方側がまったく処罰されない不思議。

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
昨日いよいよ都議会定例会が幕を開け、舛添知事からは所信表明演説がありました。
…が、内容は極めて無難で特にヤジも飛ばず、なんだか不気味に静かな立ち上がりですね。。


さて、先週2月12日(金)の読売新聞夕刊に、下記のような記事が掲載されておりました。

JKビジネス規制強化へ 警視庁、近く有識者会議を設置
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JK=女子高生の略で、女子高生らによる接客をウリにする一連のサービスのことが「JKビジネス」と称されます。

・JKカフェ
・JKお散歩
・JKリフレ(マッサージ)

などが有名で、文字通りのサービスを純粋に提供するだけなら適法ではあるものの、性的行為につながる

「裏オプション」

と呼ばれるメニューが横行し、近年では大きな問題になっています。
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行き場のない少女たちがこうしたイリーガルなJKビジネスを入り口に、性産業へと転落してしまうケースも多いとのことで、私も以前に訪問した女子高生サポートセンターColaboの仁藤夢乃さんなどが問題提起を続けています。

支援の狭間に落ちる女子高生たち…「難民高校生」著者、仁藤夢乃さんに会ってきた
http://otokitashun.com/blog/daily/7887/

新たな条例制定も含めて規制強化を図る方向性は間違ったものではないと思いますが、規制ができればそれをかいくぐる業者・業態が生まれ、「イタチごっこ」の状態が続いています。

それでは、こうした違法サービスを利用する側には問題はないのでしょうか?

もちろん、大ありです。

東京都であればいわゆる「淫行条例」によって、18歳未満の青少年と性交又は性交類似行為に及んだ場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。

参考:「淫行」処罰規定(警視庁HP)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/deai/inkoj.htm

ところが多くの業者が摘発され、また女子高生たちが補導されていく中で、こうした「利用者側」が逮捕・処分された例はほとんどありません。(皆無ではなけれど、極めて希少)

確かに一番悪いのは、利益目的のために女子高生を使役する業者かもしれません。
しかしその次に裁かれるべきなのは、違法とわかっててこれを利用する「ダメな大人たち」ではないでしょうか。

女子高生たちに非がないとは言いませんが、彼女たちを補導して倫理的に責めることにはどこまで意味があるのか極めて疑問です。まず需要があるから供給が生じるわけで、利用者側に取り締まりのプレッシャーをかける方が問題解決には有効なはずです。

少し話はそれますが、これって公職選挙法も同じで、寄付や贈与をした政治家・議員が裁かれることはあっても、受け取った側が処分された話は寡聞にして聞かないんですよね。事情聴取されるくらい。

しかし、公職選挙法では受け取った側にも罰則がきちんとありますので、これがしっかりと運用されれば強烈な抑止力になると考えられます。

違法行為に手を出した女子高生や政治家を倫理的に責めたてることは、ある種の昂揚感を持って世間に歓迎されるのかもしれませんが、それだけでは現実の問題は改善されないでしょう。

特にJKビジネスについては、違法行為に手を染めてしまった女子高生たちは、同時に社会の歪が産んだ被害者でもあります。彼女たちに過剰な指導を行うとすれば、行政・社会不信を招き逆効果にもなりかねません。

警視庁は取り締まりの技術的な難しさなどを理由に、規制強化は検討しても利用者側の取り締まりには消極的な様子ですので、この点をしっかりと政策提言していきたいと思います。

JKビジネスに取り込まれてしまう現代女子高生の実態は、前述の仁藤さんの著作に詳しいです。こちらも合わせてご参照くださいませ。



それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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