日銀は原油を買え!とWSJ

思わず吹き出しそうな話ですが、2%のインフレ目標を達成したければ、日銀はもっと紙幣を刷って原油を買えという記事がウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)にありました。日銀は目標の達成を「2016年度後半ごろ」から「17年度前半ごろ」に先送りしていますが、マイナス金利を導入したものの、もしかすると、原油を買い支え原油価格を上昇させるぐらいしかもう手がないのかもしれません。
日銀の政策、何でもありの世界へ – WSJ


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出典:世界経済のネタ帳

日銀の異次元の量的緩和がもたらした唯一の成果は円安誘導だったのではないでしょうか。円安が株価をあげ、輸出産業に利益をもたらせ、海外からの訪日旅行客増、またインバウンド消費に火をつけました。それで、たとえ擬似的であっても景況感が好転したものの、肝心の成長戦略は成果がいまだにでてこず、ふたたび経済が停滞しはじめてきました。そして為替相場も揺れ、ゼロ金利導入でさらに円安になるはずが、逆に円高になるなど不透明感が増してきています。

さて、ほんとうに金融緩和が景気回復につながるのかはよくわかりません。その副作用のひとつは、それが為替操作だと受け止められ、日米関係を悪化させかねないからです。

米国の大統領選でクリントン候補も、トランプ候補も、日本が為替操作を行っており、それに対しての制裁をちらつかせています。実際には日本は輸出立国ではなく、円安でも輸出数量は増えていないので言いがかりだと感じますが、彼らにとっては、日本を叩いて人気をとるということで、理屈ではないのでしょう。
クリントン前国務長官、「円安誘導」と対日批判 – 産経ニュース
東京新聞:トランプ氏、日本の為替政策批判 「コマツ」を名指し:国際(TOKYO Web)

WSJは、原油が安くなると安全逃避先として円が買われるけれど、原油の買い入れは円安を招くメリットもあるというのですが、こういったジョークが飛び出してくるほど、金融緩和も、どのような手が効き、どのような効果をもたらすかが見えなくなってきているということかもしれません。

景気を回復させるのは金融政策ではなく、みんなで新しい価値を生み出していこうとする民間のマインドです。とくに日本は新しい産業を育てていく必要性が高く、人材の流動化の促進など、それを後押しする政策こそが望まれているのだと思います。

ところで、シャープが鴻海に身売りすることが決まったようです。官民ファンドの産業革新機構の支援受け入れにはメリットが見えてこず、鴻海傘下で再建するほうが現実的ではないでしょうか。
シャープ、鴻海傘下に 臨時取締役会で決議…国内大手家電の一角が外資へ (産経新聞) – Yahoo!ニュース