日経テクノロジーOnline エンジニアのためのMOT に記事を書きました。
エンジニアのキャリアが根本的に変わろうとしている 終身雇用・年功序列の先にある人事制度
シャープ、東芝を見るまでもなく、終身雇用が事実上難しくなった現在、メーカーの人事制度も変わろうとしているようです。
以前は技術者は特定分野のスペシャリストとして育成することが一般的だったと思います。これからは、複数分野やビジネスもカバーすることが積極的に奨励されるようになってきたようです。
リストラを経験した企業では、技術者だけでなく、人事の方々も大きな悩みを抱えました。
技術者の転職先がなかなか見つからず、専門性があるにもかかわらず「つぶしがきかない」のは人事・教育制度に問題があったのではないか。
改めて考えると当たり前の話ですが、メーカーがリストラをする時は、個別の企業の問題というよりも業界全体の問題であることが多い。
例えば携帯電話、パソコン、テレビ、白物家電はどの企業も収益が悪化し、リストラせざるを得ない状況に追い込まれました。
その分野全体の状況が悪い時に、同じ専門の人がいっせいに転職しようとするのですから、次の仕事を見つけることが難しいのは当たり前です。労働市場が供給過剰になるのです。
業界全体が調子が悪い時に次の仕事を見つけるには、違う分野の仕事を探さざるを得ない。
その時に、ある特定分野だけしかやっておらず、違う分野に転向ができない人では、転職が難しい。
専門性という強みが逆に「つぶしがきかない」弱みに逆転するのです。
メーカーとしても業績の好不調にかかわらず、普段から技術者に幅広い分野の経験をしてもらうべきだった、という反省。
企業の中に居ても変わることが求められる時代になったということですね。
編集部より:この投稿は、竹内健・中央大理工学部教授の研究室ブログ「竹内研究室の日記」2016年3月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「竹内研究室の日記」をご覧ください。