歴史は繰り返す?マイアミの地価が急落

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フロリダ州マイアミといえば、サブプライム問題が米国を席巻した折に最も打撃が大きかった都市ですよね。映画「マネー・ショート」では、現金をふんだんに抱えるストリップ・ダンサーが変動型金利で片手ほどの物件を購入し顔面蒼白になった例が思い出されます。

そのマイアミで、こんな気になる数字が飛び出してきました。

不動産会社大手のダグラス・エリマン・アンド・ミラー・サミュエル・リアル・エステート・アプレイザーズ・アンド・コンサルタンツの調査で、恐ろしい事実が発覚したのです。マイアミの平均住宅販売価格は1−3月期に前年同期比7.5%下落の90万5252ドル中央値では6.6%下落の40万8750ドルにまで落ち込んでいました。

販売件数も21.1%減の810軒、在庫軒数も33%増に及びます。在庫相当は21.5ヵ月まで延びた結果、販売日数平均は前年同期の53日から93日に大きく後ろ倒しとなりました。

理由として、1)海外の需要低下、2)供給過剰、3)景気鈍化——が挙げられます。特に2)については明白で、超高級市場では価格が前年同期比14.5%下落の313万ドルで、在庫軒数は58%も急増する有様。おかげで、在庫軒数は3年半に及ぶといいます。

ミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー最高経営責任者(CEO)は、高級住宅市場に対し「その他の市場より全般的に軟調」と評します。ただし2011年から2014年にかけ急速な勢いで上昇した反動との認識で、足元の高級住宅市場の減速は「正常化の兆し」と一蹴していました。

コロニアル風味なア—ルデコなスタイルを足したデザインこそ、マイアミ流。
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(出所:Ohad Ben-Yoseph/Flickr)

確かにマイアミ市場は、全てが真っ逆さまというわけでもありません。マイアミの湾岸エリアは1−3月期に前年同期比2.7%上昇の40万4020ドルで、中央値は7.4%上昇の26万ドルでした。価格は上昇を保っていますが、販売軒数では減速感は拭えず。17.5%減の3583軒、在庫軒数は15%増加し、在庫層とは10.6ヵ月に及び前年同期の7.6ヵ月から大きく延びています。

世界景気の鈍化に加え、米国ではペーパー・カンパニーで住宅購入を目論む外国人をはじめとした富裕層の精査を開始しており、海外投資家の需要を減退させた可能性をはらみます。ドル高が響いたほか、原油安でオイル・マネーや南米、ロシア投資家のほか、中国景気の鈍化でチャイナ・マネーが遠のいたことでしょう。海外投資家が去った後、アメリカ人の出番が来るのかで住宅販売価格の下落や販売軒数の減少にブレーキが掛かるか試されます。

(カバー写真:Jasperdo/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。